新しいスミス像を描き出し、社会科学における人間の問題を提出することを通して、学史研究の今日的意味を問うた古典的名著。

本巻は、『経済学の生誕』以降「発端・市民社会の経済学的措定」にいたるまでの経済学史・思想史研究にかかわる論稿、鼎談と書評収録した。

啓蒙主義の時代から、経済学の原点を問う

... 生誕の第二百年に當りますので我邦の諸大學に於いても其れぐ盛んに記念會が行はれました。其故は普通にアダム・スミスを以つて我經濟學の父と稱しますので彼の生誕を記念するのは、一面に於て經濟學の生誕を記念すると云ふ意味も含まれて居るからであり ...

... 經濟學説の範疇より脱却したとさへ稱され得べきものにまで進展してゐた。そしてこのやうな英国における重商主義經濟學説の果敢な脱皮こそは、アダム・スミスの『諸國民の富』を契機として、經濟學の科的生誕を可能ならしめたわけである。これに反して ...

... 経済学の形成をこのような自然法学と古典的・ルネサンス的シヴィク・ヒューマニズムとの交叉と対抗と前者による後者の克服に見ようとする方法視角は,たんにスコットランド啓蒙における経済 ... 生誕』(御茶の水書房, 1988 )と同氏の編著になる『スコットランド ...