捕鯨問題というと、文化という言葉を持ち出して絶対視する風潮がありますが、
本書は歴史学の見地から、いかにその「文化」とやらが胡散臭いかを解明したものです。
特に近代捕鯨が朝鮮への侵略と並行して行われたということ、
実は捕鯨は日本の国策に従って開始されたプロジェクトだったということは、
どこか小林多喜二の『蟹工船』を彷彿させるものがあり、面白かったです。
まー、文化がどーのこーのといった言い分は日本のもので、外国は
商業捕鯨(肉を売買するために行う捕鯨)が禁止されているなか、
調査捕鯨と称して4ケタのクジラを殺して肉をスーパーで売りさばくのはおかしい
じゃないかと言って批判しているんですけどね(ちなみにイヌイットなどの少数民族が
生きるために行う「生存捕鯨」は国際的にも認可されています)
捕鯨に関しては、農水省の息がかかった人間や元農水省の官僚が関連学会の
役員になっており、はっきり言って原発の原子力ムラと同じような構造になっているだけに、
正しい知識を得る機会がなかなかないと思います。そういう点で本書は貴重です。
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捕鯨問題の歴史社会学: 近現代日本におけるクジラと人間 単行本 – 2006/9/1
渡邊 洋之
(著)
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- 本の長さ222ページ
- 言語日本語
- 出版社東信堂
- 発売日2006/9/1
- ISBN-104887137001
- ISBN-13978-4887137004
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登録情報
- 出版社 : 東信堂 (2006/9/1)
- 発売日 : 2006/9/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 222ページ
- ISBN-10 : 4887137001
- ISBN-13 : 978-4887137004
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2013年3月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2013年3月15日に日本でレビュー済み
日本における近代捕鯨について詳しく書かれている。
本書は、日本に果たして捕鯨という「文化」や、「伝統」が存在したかどうかについて、鋭い疑問を投げかける。本書は、さまざまな文献資料を読み解くことを通して、江戸時代に鯨組などによって行われていた古式捕鯨と、いわゆる近代捕鯨との間に、連続性がないということを証明しようとしている。また、江戸時代の古式捕鯨とそれ以前の捕鯨との間の連続性についても、疑問をなげかけている。
話かわるが、江戸時代に捕鯨がさかんだった、佐賀県唐津市出身の友人によると、鯨は大のごちそうで、とてもおいしく、お祝いのときにしか食べられない代物だったという。一方、三重県出身の私にとって、鯨という食品は給食のメニューであり、戦後の日本が貧乏で、牛肉が高価だったころの代用品であり、ごちそうというよりは、庶民の食べ物、つまり、質素な食事のメニューにほかならなかった。
本書を読んで、私が友人との会話で感じた違和感の意味が、少し分かったような気がする。
本書は、近代捕鯨について詳しく書かれており、文献資料などを根拠にしていて、読み物として面白かった。一方、古式捕鯨については、太地を中心とする和歌山県と、呼子町などを中心とする西海捕鯨を主に扱っているが、活字の資料を前者に、絵巻物などの資料を後者に依っていて、両者をごっちゃまぜにしているきらいがあり、正確さにかけると思われる部分があった。(例:紀伊の羽差任用は世襲制によるところが多く、西海捕鯨では能力主義で羽差を決めていたが、本書では、紀伊の方式しかなかったかのように読める。)従って、読む際に、全部を鵜呑みには出来ないということを踏まえた上で読むならば、良書だと思いました。
また、本書には英語版があり、そういう意味でも、貴重な本だと思います。
追記;古式捕鯨に関する内容については正確さに欠けると書いたが、古式捕鯨から近代捕鯨への移行期については、非常に緻密な調査がなされており、とくに、江戸時代以前に捕鯨の習慣がなかった地域に近代捕鯨がすんなりと導入されたわけではなく、従来の漁業との間に軋轢が生じ、暴動にまで発展した過去の事例の検証については、一読以上に値すると言える。
本書は、日本に果たして捕鯨という「文化」や、「伝統」が存在したかどうかについて、鋭い疑問を投げかける。本書は、さまざまな文献資料を読み解くことを通して、江戸時代に鯨組などによって行われていた古式捕鯨と、いわゆる近代捕鯨との間に、連続性がないということを証明しようとしている。また、江戸時代の古式捕鯨とそれ以前の捕鯨との間の連続性についても、疑問をなげかけている。
話かわるが、江戸時代に捕鯨がさかんだった、佐賀県唐津市出身の友人によると、鯨は大のごちそうで、とてもおいしく、お祝いのときにしか食べられない代物だったという。一方、三重県出身の私にとって、鯨という食品は給食のメニューであり、戦後の日本が貧乏で、牛肉が高価だったころの代用品であり、ごちそうというよりは、庶民の食べ物、つまり、質素な食事のメニューにほかならなかった。
本書を読んで、私が友人との会話で感じた違和感の意味が、少し分かったような気がする。
本書は、近代捕鯨について詳しく書かれており、文献資料などを根拠にしていて、読み物として面白かった。一方、古式捕鯨については、太地を中心とする和歌山県と、呼子町などを中心とする西海捕鯨を主に扱っているが、活字の資料を前者に、絵巻物などの資料を後者に依っていて、両者をごっちゃまぜにしているきらいがあり、正確さにかけると思われる部分があった。(例:紀伊の羽差任用は世襲制によるところが多く、西海捕鯨では能力主義で羽差を決めていたが、本書では、紀伊の方式しかなかったかのように読める。)従って、読む際に、全部を鵜呑みには出来ないということを踏まえた上で読むならば、良書だと思いました。
また、本書には英語版があり、そういう意味でも、貴重な本だと思います。
追記;古式捕鯨に関する内容については正確さに欠けると書いたが、古式捕鯨から近代捕鯨への移行期については、非常に緻密な調査がなされており、とくに、江戸時代以前に捕鯨の習慣がなかった地域に近代捕鯨がすんなりと導入されたわけではなく、従来の漁業との間に軋轢が生じ、暴動にまで発展した過去の事例の検証については、一読以上に値すると言える。
2006年10月8日に日本でレビュー済み
巷間言われているように捕鯨は日本人の文化なのだろうか?歴史社会学の立場から近代捕鯨と日本人とのかかわりを探り、今後の鯨と人間とのかかわりを示唆する論文。
私は給食あるいは自宅で鯨を特殊な肉類としてではなく食した恐らく最後の世代になるが、本書を読んで歴史認識というのはあいまいなものだなと痛感した。新聞報道、親のコメントなどで鯨食は日本古来の伝統と思い込んでいたが、本書は近代捕鯨の歴史を辿る中でそれが極めて政治的なバイアスが加えられたものであることを赤裸々にする。今後、捕鯨問題を考える上で必読となる論文だと思われる。
私は給食あるいは自宅で鯨を特殊な肉類としてではなく食した恐らく最後の世代になるが、本書を読んで歴史認識というのはあいまいなものだなと痛感した。新聞報道、親のコメントなどで鯨食は日本古来の伝統と思い込んでいたが、本書は近代捕鯨の歴史を辿る中でそれが極めて政治的なバイアスが加えられたものであることを赤裸々にする。今後、捕鯨問題を考える上で必読となる論文だと思われる。