教養、専門職大学、専門、研究、社会貢献、そして学位。大学関係者なら必ずや聞き覚
えのあるこれらの言葉。著者は、これらのキーワードを手始めとして、日本がモデルとし
てきた諸外国、特にアメリカの大学制度について説いている。
例えば、日本では科学研究費補助金の「系・分野・分科・細目表」においては、法律や
経営は社会科学に分類され、科学の一分野であるかのように扱われる。一方、アメリカの
大学における学士課程においては、法律や経営は職業専門に分類され、リベラル・アーツ
専門である社会科学とはいわば対極に位置づけられる。当然、科学とは似て非なるものと
して扱われる。
本著を読むと、高度職業人を養成する職業専門と各専門の方法論を教えるリベラル・ア
ーツ専門とを明確に区分し、大学、あるいは学部毎に担うべき機能を再考する必要性に
気づかされる。一部の大学を除き、リベラル・アーツ専門と職業専門とを混同している日
本の大学は、教育目標を明確に定めているとは言いがたい状況ではなかろうか。
大学の教育研究組織のあり方を考察する上で欠かせない一冊。
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