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新書740魚で始まる世界史 (平凡社新書 740) 新書 – 2014/6/13
越智敏之
(著)
オランダはニシンの骨の上に繁栄を享受し、大航海時代は塩ダラによって幕が上がった。牛肉ではなく魚がつくったヨーロッパの歴史。
- 本の長さ237ページ
- 言語日本語
- 出版社平凡社
- 発売日2014/6/13
- 寸法10.7 x 1.3 x 17.3 cm
- ISBN-10458285740X
- ISBN-13978-4582857405
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登録情報
- 出版社 : 平凡社 (2014/6/13)
- 発売日 : 2014/6/13
- 言語 : 日本語
- 新書 : 237ページ
- ISBN-10 : 458285740X
- ISBN-13 : 978-4582857405
- 寸法 : 10.7 x 1.3 x 17.3 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 409,935位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2015年9月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
胡椒が歴史を動かしたというのは世界史では有名ですが、漁場と保存技術も歴史上重要な役割を果たしていたことがわかります。斬新な視点が得られるという点で良書です。
2015年8月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ニシンとタラに焦点をあてたヨーロッパ中世史。
しかしレント、漁獲技術、保存方法、運送能力の向上、そして環境変化によるニシンの回遊地域変化の伴うヨーロッパ海洋力学への影響...ほぼ同じ内容がBrian Fagan "Fish on Friday: Feasting, Fasting and the Discovery of the New World”で書かれています。そして同様に、あとがきで筆者が書いているようにKippered herringやFish n' Chipsに関する叙述はほとんどなし。Fagan本にもあまりないのがそのまま反映されているような...もちろん英語文献が読めない読者にはFagan本の要約としてだけでおとても面白い内容だったと思いますが、英語で読める方はFagan本を読んだらいいと思います。
本書とFagan本の違いは、著者の本職であるシェークスピア文学にある魚を用いた表現ぐらいでしょうか。
それはそれで興味深かったですが、せっかく英語文献も用いてヨーロッパの漁業・海洋史をまとめられるのであれば、考古学資料などを掘り出してもらえたら、Fagan本よりももっと深く、通時性ももってストーリーが展開できたのではないでしょうか。そして欲を出すなら、料理本やFish n' Chipsについての本(John K. Walton)などから、もう少し食学の観点を加えていただくと、さらに魚好き日本人読者の心をつかめるのではないでしょうか(新書だからページ制限などあるのかもしれないが)。
しかしレント、漁獲技術、保存方法、運送能力の向上、そして環境変化によるニシンの回遊地域変化の伴うヨーロッパ海洋力学への影響...ほぼ同じ内容がBrian Fagan "Fish on Friday: Feasting, Fasting and the Discovery of the New World”で書かれています。そして同様に、あとがきで筆者が書いているようにKippered herringやFish n' Chipsに関する叙述はほとんどなし。Fagan本にもあまりないのがそのまま反映されているような...もちろん英語文献が読めない読者にはFagan本の要約としてだけでおとても面白い内容だったと思いますが、英語で読める方はFagan本を読んだらいいと思います。
本書とFagan本の違いは、著者の本職であるシェークスピア文学にある魚を用いた表現ぐらいでしょうか。
それはそれで興味深かったですが、せっかく英語文献も用いてヨーロッパの漁業・海洋史をまとめられるのであれば、考古学資料などを掘り出してもらえたら、Fagan本よりももっと深く、通時性ももってストーリーが展開できたのではないでしょうか。そして欲を出すなら、料理本やFish n' Chipsについての本(John K. Walton)などから、もう少し食学の観点を加えていただくと、さらに魚好き日本人読者の心をつかめるのではないでしょうか(新書だからページ制限などあるのかもしれないが)。
2014年7月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「タラのなかでも塩を使って日干しした塩ダラは五年近くもの保存がきき、
赤道を越えても腐らない数少ない食品の一つだった」
「一年の半分を全キリスト教徒が積極的に魚を食べる。
この宗教的要請がヨーロッパにもたらしたものを想像してほしい。
巨大な経済的需要、そしてそれを支える為の漁業や運送の巨大な経済システム。」
いずれもこの本のまえがきからの引用ですが、これにピンと来るものがあった方は読んで損のない一冊でしょう。
西洋と言えば狩猟民族、肉肉肉な生活をイメージしがちですが実際は魚だって重要な食糧資源の一つでした。
むしろ歴史をよく観察してみると、宗教やその他の理由から魚が主役の時代の方が長かったということがわかります。
魚は肉以上に、ヨーロッパの庶民の生活から国家の政策にまで影響を与えた重要な食料だったのです。
それを踏まえこの本はキリスト教の中に出てくる魚の話から始まります。
続いてニシン漁で莫大な富を築き巨大化するオランダとそれに対して有効な手段が打てないイングランド、
さらにイングランドの対オランダ政策を揺さぶる旧教国スペインの存在。
そして漁業がどのように「海の自由」に影響を与えたかというのを示します。
本の後半は魚の視点から見た新大陸に移ります。
ピルグリム・ファーザーズの感謝祭のエピソードなどよく知られたものから
炎天下で重労働をしていた黒人奴隷は塩分を大量に補給する必要があり、
干物製造の過程で産まれた半端物のタラが安く求められるようになった事。
そして三角貿易でタラの干物は代用通貨になり、干物で奴隷が買えたという驚きの話しまで幅広いエピソードが載っています。
ただあとがきで著者も述べていますが、漁業全般ではなく漁業と歴史の本であるため
日本でも有名なフィッシュアンドチップスなどは言及されていません。
食卓の歴史ではなく、歴史上の政策や外交、事件にどのように魚が関わってきたかという本だと思います。
肉肉肉なイメージしか持っていなかった私はここまでヨーロッパが魚に頭を悩ませたのかと驚きました。
しかし初期のキリスト教の話から一気に時代が飛んでしまうといった
食べ応えが少々物足りなかった部分があったため4つ星評価にしました。
最後におまけとしてヨーロッパの古いお魚料理のレシピが載っています。
お魚好きな方は再現に挑戦してみてはいかがでしょうか。
赤道を越えても腐らない数少ない食品の一つだった」
「一年の半分を全キリスト教徒が積極的に魚を食べる。
この宗教的要請がヨーロッパにもたらしたものを想像してほしい。
巨大な経済的需要、そしてそれを支える為の漁業や運送の巨大な経済システム。」
いずれもこの本のまえがきからの引用ですが、これにピンと来るものがあった方は読んで損のない一冊でしょう。
西洋と言えば狩猟民族、肉肉肉な生活をイメージしがちですが実際は魚だって重要な食糧資源の一つでした。
むしろ歴史をよく観察してみると、宗教やその他の理由から魚が主役の時代の方が長かったということがわかります。
魚は肉以上に、ヨーロッパの庶民の生活から国家の政策にまで影響を与えた重要な食料だったのです。
それを踏まえこの本はキリスト教の中に出てくる魚の話から始まります。
続いてニシン漁で莫大な富を築き巨大化するオランダとそれに対して有効な手段が打てないイングランド、
さらにイングランドの対オランダ政策を揺さぶる旧教国スペインの存在。
そして漁業がどのように「海の自由」に影響を与えたかというのを示します。
本の後半は魚の視点から見た新大陸に移ります。
ピルグリム・ファーザーズの感謝祭のエピソードなどよく知られたものから
炎天下で重労働をしていた黒人奴隷は塩分を大量に補給する必要があり、
干物製造の過程で産まれた半端物のタラが安く求められるようになった事。
そして三角貿易でタラの干物は代用通貨になり、干物で奴隷が買えたという驚きの話しまで幅広いエピソードが載っています。
ただあとがきで著者も述べていますが、漁業全般ではなく漁業と歴史の本であるため
日本でも有名なフィッシュアンドチップスなどは言及されていません。
食卓の歴史ではなく、歴史上の政策や外交、事件にどのように魚が関わってきたかという本だと思います。
肉肉肉なイメージしか持っていなかった私はここまでヨーロッパが魚に頭を悩ませたのかと驚きました。
しかし初期のキリスト教の話から一気に時代が飛んでしまうといった
食べ応えが少々物足りなかった部分があったため4つ星評価にしました。
最後におまけとしてヨーロッパの古いお魚料理のレシピが載っています。
お魚好きな方は再現に挑戦してみてはいかがでしょうか。
2015年5月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ウォーラーステインの世界システム論以降らしい議論。新書サイズでこれだけダイナミックな歴史が読めるのは楽しい、素人としてありがたい。
2015年12月15日に日本でレビュー済み
魚、特にニシンとタラとそれをめぐる技術などを通して、欧州の変遷を描いた本。
産業革命などとはまた異なる視点から世界史を見せてくれる内容だ。
知らない話ばかりで大変おもしろかった。
産業革命などとはまた異なる視点から世界史を見せてくれる内容だ。
知らない話ばかりで大変おもしろかった。
2014年9月2日に日本でレビュー済み
欧州の食といえば肉が中心というイメージがあるが、キリスト教は断食があり、中世盛期のキリスト教社会では一年の半分は魚を食べて過ごしていたという。
これだけでも驚きなのだが、欧州では回遊魚のニシンやタラが国際商品・戦略物資としての役割を担っていたという。ニシンの回遊の変化が、ヴァイキングのブリテン来襲やハンザからオランダへの実権移譲を生み、タラは大航海時代を支える食材となり新大陸を旧世界システムに取り込んでいった媒体となった。そのスケール感には圧倒される。
茶、胡椒、コーヒー、トマト、ジャガイモなど「世界史」を担った食物は多く、それぞれ興味深い考察がなされているが、本書は、そこにまた新たな視点を切り開いてくれた。
さて、本書を読み進めれば、イギリスに行ったことのある者ならだれでも「そうか、お馴染みのキッパー(ニシンの塩漬け燻製)やフィッシュアンドチップス(タラとジャガイモのフライ)はこういう歴史的背景があったのか」と連想するだろう。しかし、あとがきにも記されているように、それについては「本文では一言も触れていない」。これらの料理はまた登場した歴史的年代が新しいといい、筆者も「将来の課題」としている。また、次回作を期待したいものである。
これだけでも驚きなのだが、欧州では回遊魚のニシンやタラが国際商品・戦略物資としての役割を担っていたという。ニシンの回遊の変化が、ヴァイキングのブリテン来襲やハンザからオランダへの実権移譲を生み、タラは大航海時代を支える食材となり新大陸を旧世界システムに取り込んでいった媒体となった。そのスケール感には圧倒される。
茶、胡椒、コーヒー、トマト、ジャガイモなど「世界史」を担った食物は多く、それぞれ興味深い考察がなされているが、本書は、そこにまた新たな視点を切り開いてくれた。
さて、本書を読み進めれば、イギリスに行ったことのある者ならだれでも「そうか、お馴染みのキッパー(ニシンの塩漬け燻製)やフィッシュアンドチップス(タラとジャガイモのフライ)はこういう歴史的背景があったのか」と連想するだろう。しかし、あとがきにも記されているように、それについては「本文では一言も触れていない」。これらの料理はまた登場した歴史的年代が新しいといい、筆者も「将来の課題」としている。また、次回作を期待したいものである。
2016年2月10日に日本でレビュー済み
「1年の半分を全キリスト教徒が積極的に魚を食べる。この宗教的要請がヨーロッパに
もたらしたものを想像してほしい。巨大な経済的需要、そしてそれを支えるための
漁業や運送の巨大な経済システム。そしてそのシステムのなかで主要な商品として
流通したのがニシンとタラだったのである。……回遊魚のニシンは現代でもよく分からない
理由でその回遊コースを変えることがある。そしてその回遊コースが大きく変わるたびに
国家の運命が変わった。ヴァイキングが故郷を捨ててブリテン島に来襲した背景には、
このニシンの回遊コースの変化があったのだと説く歴史家がいる。ハンザが躍進した
背景には、その中心都市であるリューベックの近海で、ニシンの大群が産卵したことが
あった。ところがそのニシンの群れは回遊コースをバルト海から北海に変えてしまい、
ハンザは衰え、かわりにオランダが飛躍する。スペインの支配下にあったオランダが
その軛から脱し、スペインに代わって海洋覇権を獲得するにいたる道程の、そもそもの
出発点がニシンだったのである。
一方タラはというと、宗教的要請によって生まれた全ヨーロッパ規模の魚の供給
システムを、新大陸まで拡大させ、新大陸を旧世界のなかへと取り込んでいった
媒体の一つとして働く。そもそも大航海時代自体が、タラがなければあれほど爆発的な
ものにはなりえなかったと主張する歴史家もいる。タラのなかでも塩を使って日干しした
塩ダラは5年近くもの保存がきき、赤道を越えても腐らない数少ない食品の一つだった
からだ。……カナダ東部からニューイングランドにかけての海域は、旧世界にとって
重要なタラの供給地になる。その地域への植民を経済的に可能にしたのもタラであり、
それどころか、アメリカが大英帝国から独立する背景にも、タラが一枚かんでいた」。
まえがきからして既にこのスケール感、ニシンとタラにターゲットを定めた地点で
その面白さは約束されたようなもの。マルサスの人口論にも匹敵するような説得力を
この魚論にふと見てしまう。
とはいえ、あえて難点と言えば、筆者自身によるほれぼれとするようなこの要約を、
その後の描写がさして上回るものではないことにある。
趣旨として分かった上で、原動力としての魚を強調するあまり、その他の背景が
過剰になおざりにされている感は否めない。グロティウスの『自由海論』に触れるのに、
対するジョン・セルデン『閉鎖海論』は名前すら出てこない、という消化不良もある。
まあ、新書に過大な期待を寄せる方が野暮、なのかもしれない。
『世界史』との表題に恥じない試みのダイナミズムだけでも、十二分に成功した一冊。
もたらしたものを想像してほしい。巨大な経済的需要、そしてそれを支えるための
漁業や運送の巨大な経済システム。そしてそのシステムのなかで主要な商品として
流通したのがニシンとタラだったのである。……回遊魚のニシンは現代でもよく分からない
理由でその回遊コースを変えることがある。そしてその回遊コースが大きく変わるたびに
国家の運命が変わった。ヴァイキングが故郷を捨ててブリテン島に来襲した背景には、
このニシンの回遊コースの変化があったのだと説く歴史家がいる。ハンザが躍進した
背景には、その中心都市であるリューベックの近海で、ニシンの大群が産卵したことが
あった。ところがそのニシンの群れは回遊コースをバルト海から北海に変えてしまい、
ハンザは衰え、かわりにオランダが飛躍する。スペインの支配下にあったオランダが
その軛から脱し、スペインに代わって海洋覇権を獲得するにいたる道程の、そもそもの
出発点がニシンだったのである。
一方タラはというと、宗教的要請によって生まれた全ヨーロッパ規模の魚の供給
システムを、新大陸まで拡大させ、新大陸を旧世界のなかへと取り込んでいった
媒体の一つとして働く。そもそも大航海時代自体が、タラがなければあれほど爆発的な
ものにはなりえなかったと主張する歴史家もいる。タラのなかでも塩を使って日干しした
塩ダラは5年近くもの保存がきき、赤道を越えても腐らない数少ない食品の一つだった
からだ。……カナダ東部からニューイングランドにかけての海域は、旧世界にとって
重要なタラの供給地になる。その地域への植民を経済的に可能にしたのもタラであり、
それどころか、アメリカが大英帝国から独立する背景にも、タラが一枚かんでいた」。
まえがきからして既にこのスケール感、ニシンとタラにターゲットを定めた地点で
その面白さは約束されたようなもの。マルサスの人口論にも匹敵するような説得力を
この魚論にふと見てしまう。
とはいえ、あえて難点と言えば、筆者自身によるほれぼれとするようなこの要約を、
その後の描写がさして上回るものではないことにある。
趣旨として分かった上で、原動力としての魚を強調するあまり、その他の背景が
過剰になおざりにされている感は否めない。グロティウスの『自由海論』に触れるのに、
対するジョン・セルデン『閉鎖海論』は名前すら出てこない、という消化不良もある。
まあ、新書に過大な期待を寄せる方が野暮、なのかもしれない。
『世界史』との表題に恥じない試みのダイナミズムだけでも、十二分に成功した一冊。
2017年5月24日に日本でレビュー済み
著者はシェイクスピア/アメリカ社会の研究者。
ふとしたことから魚を切り口に西洋史を考えてみることになり、本書が生まれたのだという。
キリスト教徒が魚にたとえられることの歴史的背景、キリスト教における肉の禁日(魚の日)にこめられた政治的意図、ニシンの加工技術はいつどこで生まれたか、タラが支えた近代など、いくつかのテーマが取り上げられている。
いろいろな研究を精査し、分かりやすくまとめてくれているのがありがたい。
魚が歴史を支えてきたというのは、意外な視点であり、とてもおもしろかった。
ふとしたことから魚を切り口に西洋史を考えてみることになり、本書が生まれたのだという。
キリスト教徒が魚にたとえられることの歴史的背景、キリスト教における肉の禁日(魚の日)にこめられた政治的意図、ニシンの加工技術はいつどこで生まれたか、タラが支えた近代など、いくつかのテーマが取り上げられている。
いろいろな研究を精査し、分かりやすくまとめてくれているのがありがたい。
魚が歴史を支えてきたというのは、意外な視点であり、とてもおもしろかった。