著者はイギリスの政治学者であったと思うが、近年の世界的な市民社会論ブームの流れを、ある意味で総括したのが本書である。著者は通説通り、古典・古代のギリシャ的共同体を市民社会の起源として紹介し、近代市民社会、現代市民社会へと理論史を描き出していく。
とくに近代市民社会の構図はきわめて複雑であるが、エーレンベルクは近代市民社会を2つの潮流に大きく整理した。現代市民社会ではアーレント、ハバーマス、パットナム、サンデルなどあらゆる思想の根底にある市民社会思想を明らかにしている。
結論としてはエーレンベルクは現代市民社会にきわめて批判的である。とくに主流のネオトオクヴィリアンの市民社会論は、あまりに市民社会という枠組みだけにこだわり、市民社会が国家と市場とのなかで相互的にたえず規定されるものであったというある種の当然の事実を忘却しているという。したがって、エーレンベルクは市民社会はもともと、国家と市場といったものとの関連で、社会構造を読み解くことによって解明されなければならないとしている。
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市民社会論: 歴史的・批判的考察 単行本 – 2001/9/20
- 本の長さ379ページ
- 言語日本語
- 出版社青木書店
- 発売日2001/9/20
- ISBN-104250201295
- ISBN-13978-4250201295
商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
高まる「市民社会」への期待。だが、その意味をどこまで知っているだろうか。古代から現代まで西洋の市民社会論を包括的に整理し批判的に検討した、政治思想分析による通史。99年度アメリカ政治学会マイケル・ハリントン賞。
登録情報
- 出版社 : 青木書店 (2001/9/20)
- 発売日 : 2001/9/20
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 379ページ
- ISBN-10 : 4250201295
- ISBN-13 : 978-4250201295
- Amazon 売れ筋ランキング: - 506,319位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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