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現代経済学 ― ビジョンの危機 単行本 – 2003/6/28

4.2 5つ星のうち4.2 5個の評価
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ケインズ経済学が有効性を失ったといわれて以降，これにとって替わる「ビジョン」を持った経済学の新しいグランド・セオリーはまだ登場していない．現在の経済理論が数学的に精緻化される一方で，実態経済を説明しきれていない現実，すなわち「ビジョンなき経済学」という危機的状況に，経済学の碩学が警鐘を鳴らす．
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  1. 本の長さ
    193ページ
  2. 言語
    日本語
  3. 出版社
    岩波書店
  4. 発売日
    2003/6/28
  5. ISBN-10
    4000227335
  6. ISBN-13
    978-4000227339
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商品の説明

内容（「MARC」データベースより）

ケインズ経済学が有効性を失ったといわれて以降、これに替わる新しいグランド・セオリーは登場していない。現代の経済理論が数学的に精緻化される一方で、必ずしも実態経済を説明できない現実に碩学が警鐘を鳴らす。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 岩波書店 (2003/6/28)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2003/6/28
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 193ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4000227335
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4000227339
  • カスタマーレビュー:
    4.2 5つ星のうち4.2 5個の評価

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上位レビュー、対象国： 日本

Amazonカスタマー
5つ星のうち5.0 上級レベルの理論経済を修めた人向き
2016年6月8日に日本でレビュー済み
　数式を用いた理論経済学が頭に入っている人が読むと、この論文集の質がよくわかる。本書は、数式が出てこない経済史の本ではあるが、ハイルブローナー氏の理論と歴史の理解から解釈される近経は、するどい慧眼である。
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Yoshi
5つ星のうち3.0 「経済学のビジョン」とは？
2009年10月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
経済学にビジョンがないという危機的状況に警鐘を鳴らし，経済学におけるビジョンの重要性を強調しますが，本書の中で具体的なビジョンが提示されたとは思えません．

そもそも「経済学のビジョン」などというものは提示可能なものでしょうか？ビジョンとは「いつまでにこうなっていたい」というイメージですが，たとえば企業経営において，ビジョンは経営理念で定義された存在意義に基づいて提示されます．しかし，企業のビジョンとは企業の数だけ存在し，もっといえば，ある企業のビジョンはその企業のマネジメントが入れ替わる度に変わります．国民経済は家計と企業の個別経済から構成されますが，家計のビジョンに於いても然りです．そして，それらのビジョンを合算すれば「経済学のビジョン」になるかというと，そんなものはビジョンとは呼べないでしょう．

日本で「構造改革」が議論されたときに，「構造」について明確な定義が与えられていなかったため，建設的な議論がなされませんでした．同様に，「経済学のビジョン」について議論する前に，「経済学のビジョン」とは何か，具体的に定義するべきだと思います．
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Syrian Hamster
5つ星のうち4.0 現代経済学の分析と評価
2008年11月26日に日本でレビュー済み
   経済学部の上級生以上が対象ではないかと推測します。現代経済学を経済思想史の中にあてはめて考察することで、現代経済学の欠陥を、理論の土台となるビジョンの欠如にあると指摘します。経済史の観点から考察しているため、時間的に長い経済社会と経済学を対象にしており、参考書から学ぶ経済学が特定期間に焦点を合わせたモデルでしかないと感じられます。

　また、経済学は医学のように人々を苦しめる病気(問題)の解決に役立つ必要があり、その役割に応じたビジョンの上に経済学を形成するべきであるという主張を展開しています。しかし、著者達が示唆するビジョンについて、その根拠をあまり説明していません。時とともに拡大・複雑化する世界経済と深刻化する経済問題を考えると、そのビジョンの正当性は増すばかりであると思うだけに残念です。全体的には示唆に富む分析が散りばめられており良書です。
5人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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ヒラです
5つ星のうち5.0 社会科学としての健全性と「ビジョン」の重要性
2003年7月26日に日本でレビュー済み
　本書は一貫して、経済社会の歴史的現実を理解する枠組みとしての「ビジョン」の重要性を主張しています。古典派からケインズまでの流れを概観した上で、その後米英両国の経済学諸派が時代に適合する「ビジョン」を打ち立てることができないまま、むしろ「科学的」分析の精緻化へと向かっていることに異議を唱えています。失敗の原因は、資本主義社会に対する分析の欠如にみられるような政治・社会・歴史の無視ないし軽視に求められています。最終章では来るべき代替的な「ビジョン」について述べており、公的セクターの役割に正当性を付与する必要があることを強調しています。
　原著は1995年刊行と若干古いですが、前書きではその後の状況についても触れています。いずれにせよ、社会科学が現実世界と!真剣に切り結ぶことの重要性は普遍的なものです。ある思考の枠組みをより広い視野から批判することの重要性を強く感じさせる本でもあり、大変勉強になりました。
　なお本書はハイルブローナーの処女作「入門経済思想史」のやや難しい続編として読むことも可能です。本書ではケインズ以前の紹介が少ない割には繰返し言及されていますし、経済学の巨人達が描いた「ビジョン」の重要性を実感するためにも併せて読むことをおすすめします。
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