内容説明
学問が役に立つとは、学者のありかたとは、文学部で過ごした日々、研究のおもしろさ、元国語科教科書調査官の著者が折々につづったエッセイ集。
目次
第1部 むなしい学問なのか(虚学の論理;ノーベル賞と旧石器;「勇気をもて。学者の良心を忘れたのか」 ほか)
第2部 文学青年から文学研究者へ(文学部への道;文芸部部室と無邪気な夢;中野三敏先生と和本修業 ほか)
第3部 国文学ひとりごと(作者は本当のことを書かない;二人のタケウチ氏をめぐる因縁譚;資料を読み解く面白さ ほか)
著者等紹介
白石良夫[シライシヨシオ]
1948年、愛媛県生まれ。九州大学文学部卒業、同大学院修士課程修了。北九州大学講師等を経て、文部省(現文部科学省)入省、教科書調査官(国語科)。2009年、佐賀大学教授となり、2014年退職。専攻、国語学・国文学。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さとまる
4
選択と集中とか稼げる大学とか目先の収益しか考えていない文科省の政策に対するアンチテーゼ的なものを期待して読んだのだが、そういった内容は第一部だけで、第二部は自分語りに第三部は著者のエッセイのようなものの集録で肩すかしを食らってしまった。特に図書館に関する提言には時代錯誤な上から目線しか感じられない。2023/05/06
me23
1
▼題名見てから読みたくてしょうがなかった。虚学と聞くとゾクゾクする。私自身、「文学部行って何になるんだ」と言われた。「即効薬でないがなくてはならないもの」か。なるほどなぁ。 ▼既知時代(現在)からテクストを読むのではなく、未知時代(作者と同時代)の視点から読め、とは私も学生時代、近世の演習で徹底して厳しく指導された。本書第Ⅲ部のエッセイは、ページをめくってもめくっても既視感があった。学生時代せっせとやってたのはコレだったのかぁと思った。筆者は九大卒とのこと、その近世の先生も九大だった。納得。2021/05/30
まっつー
1
文学研究者としては異色の経歴を持つ筆者が、往時を回想する形をとりながらも、文学部で扱われる学問がどのように有用かを説く一冊。「学問は即効薬ではない。即効薬ではないが、それなくして即効薬はつくれない。」という帯のキャッチコピーに、すべてが凝縮されている。文学部は栄えるということはなく、各学問とも、命脈を保つので精一杯という印象。その流れに歯止めをかけ、逆流させなければ、人はついに過去から学ぶことができなくなってしまう。そんな危機感を覚えつつ、今後の研究のモチベーションとなった一冊。2021/02/12
三十路くん
0
第一部はタイトル通りの内容。 第二部、三部は不要かな。 まぁなんにせよ。基礎分野が大事だ大事だ大事だというのはわかるが限りあるリソースをいかに分配せざる負えない時代に対して愚痴ってるようにしか感じられない。 教育機関の外からみたら愚痴るよりまだまだやるべきことがあるとおもけどね?2022/01/12
ukitama
0
象牙の塔にこもる学者の戯言集。今の国語教育では、生徒の読解能力を養成できないという課題があるが、こうした原因(つまり教科書)を見ました。これだけ本が溢れている時代に、「図書館で本を貸すな」とは、なんたる暴言。しかし、好きな映画はレンタルで借りる。自己矛盾の塊ですね。様々な新書が溢れ、コピーぺでしかない本、出版社を変え似た内容の本を出す著者がいる中、図書館で借りる本は、読者に本を探す技能を与えてくれる。私自身、図書館で借りて必要と思える本は買っている。文系、理系という区別も辟易する内容。くだらない本でした。2021/12/07