出版社内容情報
世界中で自由貿易に対する疑問の声が強いのはなぜか?普通の人びとの暮らしと民主主義を脅かすからか?内外の研究者たちが分析するいま世界中で自由貿易に対する疑問の声が湧き上がっている。
トランプのアメリカ、EU離脱のイギリス……。
自由貿易を推進していくと普通の人びとの暮らしはどうなるのか、そもそも貿易をどう考えたらよいのか。
内外の研究者・NGOリーダーがわかりやすく論じる。
序 章 公正な貿易のルールを創りだす 内田 聖子
1 メガ経済連携協定時代の終わりの始まり?
2 矛盾を生み出し続ける貿易と日本の課題
3 本書の構成
第1章 人びとを幸せにする貿易協定を求めて 首藤 信彦
――世界「貿易」の変容とメガ経済連携協定の脅威にどう立ち向かうか
1 メガ経済連携協定の時代
2 貿易の変容と消滅
3 貿易思想の変遷――自由から正義へ
4 経済大国の横暴へ盛り上がる批判
5 貿易における正義の視点
6 グローバル経済における貿易協定に必要な価値
7 人びとを幸せにする貿易協定をもとめて
第2章 自由貿易にNO!と言う欧米の市民社会
メリンダ・セント・ルイス × ローラ・ブルュッヘ × 内田聖子
大企業がつくる民主主義に反した秘密協定
アメリカでも期待されていないTPPの経済効果
グローバルに進む規制緩和
投資家の利益を守るためのISDS
多様な人びとの参加
第3章 途上国にとってのメガ経済連携協定 内田 聖子
――貧困・開発・人権と貿易はどのように調和できるのか
1 もうひとつの「秘密」交渉
2 日本でまったく注目されないRCEP
3 命をつなぐ医薬品アクセスの危機
4 農民の種子に関する権利が脅かされる
5 高まるISDSへの批判
6 達成できなかった国連ミレニアム開発目標
7 貿易や投資に貧困削減や格差の是正などを埋め込む
第4章 自由貿易で誰が得をし、誰が損をするのか ジョモ・K・スンダラム
――「経済効果の」真実
1 アメリカ政府による経済効果の誇大宣伝
2 貿易による経済効果の真実
3 日本とマレーシアの試算
4 誰のためのルールなのか
第5章 多国籍企業をどのように規制するか 上村 雄彦
――パナマ文書とグローバル・タックス
1 危機的な地球環境とグローバル格差社会
2 国を凌駕する多国籍企業
3 タックス・ヘイブン――パナマ文書が明らかにしたこと
4 グローバル・タックスの仕組み
あとがき 内田 聖子
上村 雄彦[ウエムラ タケヒコ]
上村 雄彦
横浜市立大学学術院国際総合科学群教授。
大阪大学大学院法学研究科修士課程、カールトン大学大学院国際関係研究科修士課程修了。博士(学術、千葉大学)。
国連食糧農業機関住民参加・環境担当官、千葉大学地球福祉研究センター准教授などを歴任。
グローバル連帯税推進協議会委員、グローバル連帯税フォーラム理事なども務める。
著書に『グローバル・タックスの可能性――持続可能な福祉社会のガヴァナンスをめざして』(ミネルヴァ書房、2009年)『世界の富を再分配する30の方法』(編著、合同出版、2016年)、『不平等をめぐる戦争――グローバル税制は可能か?』(集英社新書、2016年)など。
首藤 信彦[ストウ ノブヒコ]
首藤 信彦
国際政治学者。
伊藤忠商事勤務後、ジョンズホプキンス大学SAIS客員研究員、INSEAD客員教授、東海大学教授、衆議院議員(民主党、3期)などを歴任。
専門は危機管理、予防外交、テロリズム研究。民主党内ではいち早くTPPへの安易な加盟に対して反対を表明し、TPP交渉のウォッチと情報分析、発信を積極的に行ってきた。
著書に『現代のテロリズム』(岩波ブックレット、2001年)、『政治参加で未来を守ろう』(岩波ジュニア新書、2006年、『TPPで自滅する日本型産業社会』(集英社イミダス(ネット版)、2016年)など。
内田 聖子[ウチダ ショウコ]
内田 聖子
NPO法人アジア太平洋資料センター(PARC)共同代表。
慶應義塾大学文学部卒業。
出版社勤務などを経て2001年より同センター事務局スタッフ。
自由貿易・投資協定のウォッチと調査、政府や国際機関への提言活動、市民キャンペーンなどを行う。
TPPウォッチの国際NGOネットワークにも所属し、アメリカ、ニュージーランド、オーストラリア、マレーシアなどの市民社会とともに活動。
共著に『徹底解剖国家戦略特区――私たちの暮らしはどうなる?』(コモンズ、2014年)など。
※PARCのウェブサイト http://parc-jp.org/index.html
ブログ http://uchidashoko.blogspot.jp/
メリンダ・セント・ルイス[メリンダ セント ルイス]
メリンダ・セント・ルイス
アメリカ・ワシントンに拠点を置く市民団体パブリック・シチズンの「Global Trade Watch」(貿易・投資問題の担当部署)国際キャンペーン責任者。途上国の債務帳消しを求める国際キャンぺーンの「ジュビリーアメリカネットワーク」に所属し、アフリカ・アジア、中南米の債務問題解決の主要人物。
TPPやTTIPに関しても、精力的に情報収集と発信を行ってきた。
パブリック・シチズンは1971年にラルフ・ネーダー氏が設立した消費者団体で、貿易、投資、環境、人権など幅広い分野で国会議員や政府へのロビイ活動やキャンペーン、情報発信を行う。
※パブリック・シチズンのウェブサイト:www.citizen.org/
ローラ・ブリュッヘ[ローラ リュッヘ]
ローラ・ブリュッヘ
ベルギー・ブリュッセルに拠点を置き、EU全域をカヴァーする調査・キャンペーン団体「Corporate Europe Observatory(CEO)」で調査研究とキャンペーンを担当。
専門は貿易問題で、とくにTTIPに関するEUにおける活動のトップランナー。
CEOは自由貿易とそれを牽引する大企業とロビイストたちの動きを日常的にウォッチし、社会正義や環境、貧困削減、人権、民主主義などの観点から批判を行うほか、EU議会や各国の議員への政策提言やロビイ活動も積極的に行っている。
※CEOのウェブサイト:http://corporateeurope.org/
ジョモ・K・スンダラム[ジョモ ケイ スンダラム]
ジョモ・K・スンダラム
経済学者。
マレーシア生まれ、イェール大学、ハーバード大学卒業。
2005?12年に国連経済社会局経済開発部事務局次長を務めたのち、国連食糧農業機関(FAO)経済・社会開発局の事務局次長兼コーディネーターとなる。
2007年に、経済学のフロンティアを切り開いた若手に贈られるワシリー・レオンチェフ賞を受賞。
2008?09年には、第63代国連総会議長を務めたニカラグアのミゲル・デスコト・ブロックマン氏のアドバイザーとしても活躍。
ブロックマン氏は、IMF体制の改革に関する国連専門家で構成する委員会のメンバーでもあった。
内容説明
トランプのアメリカ、EU離脱のイギリス…問題の本質は「自由貿易vs保護貿易」という対立ではない。環境や人権を守り貧困・格差を是正する新たな貿易ルールが求められている。内外の研究者やNGOリーダーによる分析と提案。
目次
序章 公正な貿易のルールを創りだす
第1章 人びとを幸せにする貿易協定を求めて―世界「貿易」の変容とメガ経済連携協定の脅威にどう立ち向かうか
第2章 自由貿易にNO!と言う欧米の市民社会
第3章 途上国にとってのメガ経済連携協定―貧困・開発・人権と貿易はどのように調和できるのか
第4章 自由貿易で誰が得をし、誰が損をするのか―「経済効果の」真実
第5章 多国籍企業をどのように規制するか―パナマ文書とグローバル・タックス
著者等紹介
上村雄彦[ウエムラタケヒコ]
横浜市立大学学術院国際総合科学群教授。大阪大学大学院法学研究科修士課程、カールトン大学大学院国際関係研究科修士課程修了。博士(学術、千葉大学)。国連食糧農業機関住民参加・環境担当官、千葉大学地球福祉研究センター准教授などを歴任。グローバル連帯税推進協議会委員、グローバル連帯税フォーラム理事なども務める
首藤信彦[ストウノブヒコ]
国際政治学者。伊藤忠商事勤務後、ジョンズホプキンス大学SAIS客員研究員、INSEAD客員教授、東海大学教授、衆議院議員(民主党、3期)などを歴任。専門は危機管理、予防外交、テロリズム研究
内田聖子[ウチダショウコ]
NPO法人アジア太平洋資料センター(PARC)共同代表。慶應義塾大学文学部卒業。出版社勤務などを経て2001年より同センター事務局スタッフ。自由貿易・投資協定のウォッチと調査、政府や国際機関への提言活動、市民キャンペーンなどを行う。TPPウォッチの国際NGOネットワークにも所属し、アメリカ、ニュージーランド、オーストラリア、マレーシアなどの市民社会とともに活動(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。