内容説明
日本を代表する15名の経済学者・哲学者たちが、現代経済学の原点・「ケインズ」に立ち返り、リーマン・ショック以降から続く世界経済危機の本質を解き明かし、その「処方箋」と経済社会の未来を探る。
目次
第1部 討論 世界経済のゆくえ・日本経済のゆくえ―ケインズの経済理論・経済政策論の視点から
第2部 討論 現代資本主義をどうとらえるのか―ケインズの経済思想・社会哲学・哲学の視点から
第3部 ケインズと日本の経済学の歩み―「私のケインズ研究」(学生時代「二人の講義―鬼頭さんと古谷さん」;研究者への歩み;全集発刊を受けて―『一般理論』研究第三期)
第4部 ケインズをとらえる視座(ケインズとマルクス―政治経済学の思想と理論の再発展に向けて;ケインズとシュンペーター―道徳的想像力による21世紀のヴィジョン;ケインズと私―「ケインズ・根岸均衡」;ケインズと新自由主義―「市場と国家のベストミックス」は可能か?;ケインズと「今日性」―彷徨の資本主義に向かって;ケインズと公共哲学―回顧的エッセーとシリアスな課題)
付論 ケインズとは何者か?(生涯;主要著作の紹介;年表)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Francis
11
4年前に再読していたのか…。忘れていた。幽霊会員ではあるけど私も会員になっているケインズ学会の設立シンポジウムでの討論を中心にまとめられたもの。冒頭の浅田統一郎、吉川洋、小野義康と言う日本のケインジアンンの巨頭による討論は実際に聞いてみたかった。この討論を読めばなぜアベノミクスは成功すると考えられ、そして失敗したのかわかると思う。吉川、小野両先生の議論からは膨張する日本の財政赤字をどうすべきかが見えてくるはず。コロナ禍で市場と政府の関係の見直しが迫られる中、ケインズを改めて知ることは大いに意義があるはず。2020/11/11
Francis
8
三年ぶりの再読。2010年に設立されたケインズ学会の設立シンポジウムの議論や会員によるケインズの生い立ち、ケインズ経済学の意義についての論考をまとめたもの。私も実はこのケインズ学会の会員だったりします。(事実上幽霊会員ですが。)まだアベノミクスと言う政策は論じられていなかったけど、第一部の吉川洋、小野善康両先生の議論の量的緩和政策への疑問や財政赤字への疑問にアベノミクス批判へつながる議論があるように思われる。リーマン・ショック以降なお新たな道を見いだせない経済学の再生につながる端緒となりうる論文集。2016/05/28
Francis
1
リーマンショック後急速に復活しつつあるケインズ経済学。日本でのケインズ学会の設立を目指して行われたシンポジウムでの発言を中心にケインズについて日本の優れた学者たちが論ずる。ケインズについて今何が議論されているかを知りたければ本書を紐解くのが一番良さそう。2013/03/15
KAZOO
1
今の経済学の泰斗がこれだけ集まってのシンポジウムを行った時のやり取りや論文を掲載されてくれています。結構面白く、小野先生や吉川先生のやり取りや岩井先生の自分の学問の軌跡なども面白く読みました。またケインズの著作につての詳細な説明も参考になりました。2013/02/18