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ひとりで苦しまないための「痛みの哲学」

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  • サイズ B6判/ページ数 197p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784791767397
  • NDC分類 490.14
  • Cコード C0010

内容説明

「痛み」、それはきわめて個人的な体験でありながら、人びとの社会的な共同性のただなかで起きている。医師であると同時に、脳性まひの当事者として発言をつづける注目の論者が、痛みと「記憶」「快楽」「言葉」「ケア」をテーマに語りあう。境界を越える当事者研究の対話の記録。

目次

第1章 痛みの記憶/記憶の痛み(大澤真幸×熊谷晋一郎)(意味づけできない痛みの記憶;痛みでつながるとはどういうことか ほか)
第2章 快楽はどこから来るのか?(上野千鶴子×熊谷晋一郎)(団塊世代の母と;欲望の主体になること/客体になること ほか)
第3章 予測不可能性を飼いならす(鷲田清一×熊谷晋一郎)(予測が挫かれる;苦痛と快楽のアスペクト ほか)
第4章 自立を阻むケアとは(信田さよ子×熊谷晋一郎)(ほんとうの「自立」とは何か;愛情のパターナリズム ほか)

著者等紹介

熊谷晋一郎[クマガヤシンイチロウ]
1977年生まれ。新生児仮死の後遺症で、脳性まひに。以後車いす生活となる。東京大学医学部卒業後、千葉西病院小児科、埼玉医科大学小児心臓科での勤務、東京大学大学院医学系研究科博士課程での研究生活を経て、東京大学先端科学技術研究センター特任講師、小児科医。著書に『リハビリの夜』(医学書院、第9回新潮ドキュメント賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ネギっ子gen

38
痛み。極めて個人的な体験でありながら、社会的な共同性の只中で起きる感覚。脳性まひの当事者として鋭い発言を続ける熊谷晋一郎小児科医が、痛みと「記憶」「快楽」「言葉」「ケア」をテーマに、様々な分野のゲストと忌憚なく語りあった記録。熊谷氏の、<痛い出来事を連想させるような、ふとした知覚や暇によって、痛む記憶がありありと再体験されることの苦悩を、身体障害者や依存症者の当事者研究を参考にしながら、各分野のゲストとともに描こうとした>という書き込みに共鳴。ゲストは、大沢真幸、上野千鶴子、鷲田清一、信田さよ子の4氏。⇒2021/02/23

ゆう。

25
痛みについて、記憶・快楽・言葉・ケアをテーマに、人にとってどのような意味があるのか考えた内容。痛みは個人的なもの、また孤立感をも生み出すもの。しかし、同時に痛みから共同性も生まれる可能性がある。そのように感じました。とても良書だと思います。2020/05/13

nbhd

16
他者と共有することができない「痛み」について、どうアプローチするか?脳性まひの著者と4人の識者による対談本。僕は大澤真幸さんの得意技パラドキシカルなロジックを敬遠していたのだけど、この本では頷くところが多かった。ダルク女性ハウスでは、ミーティングで体験談が話されるときに「面白い」「なるほど」と応答してはいけないルールだという。大澤さんはこれを例に「共感の不可能性こそが共感」だといい、ヨブと神の「話の通じ合わなさ」の話と接続したりする。逆説的なウルトラCロジックだけど、なんとなくわかり、なんとなく癒された。2020/12/07

aof

8
痛みは極めて個人的な体験でありながら、社会的な共同性の中で起きている。痛みは強制的に人を今ここに拘束させ、今ここの点の積み重ねが連続し、終わらない痛みになってしまう。それを言語化したり、他者が介入することで、痛みの連続点に区切りができる。痛みのアスペクトを分節化するって、すごくよくわかる概念だなー。分節化するから、分散できる。重層化できる。違うレイヤーで見れる。起きていることを分節化する力はすごく大きい。それこそが当事者としての言葉を得るということだろうか。2014/01/21

amanon

7
「痛み」。万人共通の感覚でありながら、その捉え方は多種多様なんだな…ということに改めて驚かされる。そして何よりも目が鱗だったのは、痛みに苦しんでいる人への対処法として、必ずしも傾聴や共感が有効ではないということ。これは高齢者介護に携わる者として、大きな示唆だった。また、著者と母親との愛憎入り混じった一筋縄ではいかない関係には複雑な思いにかられる。障害者である息子を一人前にしたい…親なら当然という思いも、時として有害なものになりかねない。昨今の先行きが見えない状態にあって、障害者の事情も変わっていくだろう。2021/05/07

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