出版社内容情報
業績向上・不祥事発生の要因とは。社会ネットワークの功罪を分析し、無形資産による価値創造・イノベーションの効果を考察。企業・組織の業績や評判の向上・不祥事発生において、社内外のネットワークはどのような影響を及ぼしているのか。本書は、この問いに答えるために、様々な業種の企業・社会福祉法人・生協等を対象とした事例調査を基に、企業・組織内外のネットワークならびに地域・社会との関係性を分析したものである。無形資産による価値創造が持つ重要性を考察した一冊。
「叢書ソーシャル・キャピタル」刊行にあたって
まえがき
序 章 無形資産をどのように捉えるのか──マネジメント分野における研究動向(金光 淳)
1 ソーシャル・キャピタルの経営学的定義
2 無形資産可視化の試み
3 本書の構成
第?部 業績を上げる企業内ネットワークの構築
第1章 関わり合う職場における協調的行動(鈴木竜太)
1 関わり合う職場は協調をもたらすのか
2 仕事の相互依存性と協調的行動
3 大手飲料メーカーにおける調査
4 相互依存性・情緒的コミットメント・集団凝集性──協調的行動にみる三者の関係性
5 相互依存性と支援行動の関係──協調的行動の能動性・受動性の比較から
第2章 職場で知識をいかに創造するのか(小豆川裕子)
1 企業経営における知識への関心
2 信頼と企業経営におけるソーシャル・キャピタルの役割
3 知識資産経営発展段階仮説に基づく分析
4 組織的知識創造における管理職の役割
5 組織的知識創造と管理職のリーダーシップ──コーポレート・ソーシャル・キャピタルの観点から
6 持続可能な企業組織の成長に向けて
第3章 企業グループにおける学習のマネジメント──ナレッジマネジメントを基盤として(秋山高志)
1 社会ネットワーク理論による学習のマネジメントの検討
2 異質性を連結する自律的な知識創造主体──企業グループの本質
3 ナレッジマネジメントとは何か
4 ネットワークにおける「埋め込み」とナレッジマネジメント
5 ネットワークのマネジメントの事例
6 企業グループのマネジメントに求められるもの
第4章 情報化と職場の生産性(井戸田博樹)
1 ICTによる生産性向上の規定要因
2 職場の生産性を高める関係性資本のあり方──結束型・橋渡し型の共存
3 ネットワークの特性
4 ICT活用とメンバー間の相互信頼
5 イノベーションのためのマネジメント活動──ソーシャル・メディアによる生産性向上のために
6 ICTがソーシャル・キャピタルを育成しうるのか
第?部 地域のネットワークがもたらす効果
第5章 “中範囲”のコミュニティー・キャピタルで捉え直す(西口敏宏)
1 スモールワールドと「刷り込み」
2 凝集性と探索力の良いとこ取り
3 より良い捉え方は?
4 階層間のリンクと“弱い”ノードの強み
5 つながり構造を活かすには?
6 コミュニティー・キャピタルの機能
7 “中範囲”のコミュニティー・キャピタルで捉え直す
第6章 現代の非営利・協同組織はソーシャル・キャピタルを醸成しないのか──生活協同組合パルシステム千葉の事例から(桜井政成・山田一隆)
1 ソーシャル・キャピタルが組合活動・政治への参加に及ぼす影響
2 地域参加・政治参加をめぐる組合員の意向
3 生協活動,地域・政治への参加の決定要因
4 生協活動,地域・政治への参加要因間の全体構造
5 都市部の生活協同組合員のソーシャル・キャピタルとその影響
第7章 産業クラスターの進化を促進する社会ネットワーク──バイオクラスターの事例から(若林直樹)
1 地域のイノベーションと経済を発展させる動脈
2 地域のイノベーション能力の発展と社会ネットワーク
3 クラスター開発における社会ネットワークの効果
4 代表的な国際バイオクラスターにおける社会ネットワークの効果
5 産学連携ネットワークの発展とベンチャー創出の推進
第?部 企業/組織と社会の関わり
第8章 企業による評判のマネジメントは可能か(北見幸一)
1 企業資本の基盤となる社会資本
2 有形・無形資本に基づく企業評価のフレームワーク
3 企業評価と評判
4 市場と情報の関係
5 企業不祥事分析から評判を考える
6 企業内外のバランスの良い関係性の構築──評判のマネジメントに必要な対応
第9章 社会イノベーションは持続するのか──地域の多様なステークホルダーとの協働(田原慎介)
1 社会イノベーションとは何か
2 社会イノベーションに必要なソーシャル・キャピタル
3 社会福祉法人による社会イノベーション──芦別慈恵園の事例から
4 営利企業にも求められる社会イノベーション
第10章 独立社外取締役は企業にとって天使か悪魔か──コーポレート・レピュテーションと企業業績のジレンマ(金光 淳)
1 コーポレート・レピュテーションとは何か
2 コーポレート・レピュテーションをいかに調査するか
3 社外取締役とレピュテーションは企業の業績を高めるのか
4 社外取締役は天使にも悪魔にもなり得る存在
第11章 強い絆が会社をつぶす──企業不祥事分析に求められるソーシャル・キャピタルの視点(稲葉陽二)
1 企業統治改革の失敗──相次ぐ大企業の不祥事
2 企業風土という言い訳
3 格差・腐敗の助長──ソーシャル・キャピタルの負の側面
4 どのようなネットワークが有効なのか
5 企業をめぐる企業統治のネットワークの変遷
6 不祥事と企業風土──本当の原因は何か
7 重要なのはトップの社内ソーシャル・キャピタル
8 権力の集中の予防──どうすればよいのか
9 労使間の分断が招いた企業の劣化──社会的病理の反映
10 企業内ソーシャル・キャピタルを踏まえた評価基準の設定──自助努力では解決しない不祥事の問題
終 章 社会に開かれた企業統治は可能か(金光 淳)
1 経営資源論から企業統治論へ
2 企業不祥事と企業統治
3 レピュテーションの重要性
4 「良心」による経営か「監視」と「報酬」による経営か
索 引
金光 淳[カネミツ ジュン]
編集
内容説明
業績向上・不祥事発生の要因とは―社会ネットワークの功罪を分析し、無形資産による価値創造・イノベーションの効果を考察。
目次
序章 無形資産をどのように捉えるのか―マネジメント分野における研究動向
第1部 業績を上げる企業内ネットワークの構築(関わり合う職場における協調的行動;職場で知識をいかに創造するのか;企業グループにおける学習のマネジメント―ナレッジマネジメントを基盤として ほか)
第2部 地域のネットワークがもたらす効果(“中範囲”のコミュニティー・キャピタルで捉え直す;現代の非営利・協同組織はソーシャル・キャピタルを醸成しないのか―生活協同組合パルシステム千葉の事例から;産業クラスターの進化を促進する社会ネットワーク―バイオクラスターの事例から)
第3部 企業/組織と社会の関わり(企業による評判のマネジメントは可能か;社会イノベーションは持続するのか―地域の多様なステークホルダーとの協働;独立社外取締役は企業にとって天使か悪魔か―コーポレート・レピュテーションと企業業績のジレンマ ほか)
終章 社会に開かれた企業統治は可能か
著者等紹介
金光淳[カナミツジュン]
1997年シカゴ大学大学院修士課程修了(M.A.)。1999年ピッツバーグ大学大学院博士課程修了。現在、京都産業大学経営学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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