内容説明
「文化と経済」「国と地方」「都市と農山漁村」「官と民」、あるいは「物の豊かさと心の豊かさ」…等々の二項対立的思考の枠組みを超えて、オールタナティブな「協働型」「共生型」社会の構築のために、そして「新たな公」による公益性の創出のために、文化政策に対して寄せられる期待は大きい。本書は、文化政策をこれから学ぼうとする初学者や文化政策の現場で日々たゆまぬ実践を展開する人々に対して、多様な視点からの具体的な実践事例を豊富に紹介する。そこから、地域社会を照射する一条の光を見いだすことができる一助となることを目指している。
目次
「文化政策学」への射程とその問題提起
第1部 地域づくりと文化政策(文化政策の視点からの京都観光論―京都・観光文化検定試験を糸口に;国際観光と文化政策―観光と文化の密接な関係;地域文化資源と文化マネジメント―富山の事例からの考察;市民と自治体による文化芸術創造都市づくり―クリエティブシティ・ヨコハマ;中山間地域の文化政策―豊田市になった足助町・藤岡町の取り組みを事例に)
第2部 現代社会の課題と文化政策(文化政策とその担い手―人材育成と地域ガバナンス;格差社会における文化政策―所得、教育、文化の格差;ライフスタイルのための文化政策―“Self‐Expression”のトレンドを増幅する「総合的文化政策」;文化政策としてのミュージアムマネジメント―地域博物館のこれから)
第3部 職業としての文化政策(公と民の狭間からの協働論―実際の活動の現場から;市民文化の創造環境を目指して―自分史からはじまるまちづくり;公共施設の運営と指定管理者制度のこれから―文化施設の現状と課題;文化創造拠点としての宗教空間―コミュニティとNPO、そして場としての寺院;「政策科学」のこれからと文化政策への期待)
著者等紹介
井口貢[イグチミツグ]
1956年滋賀県米原町(現・米原市)生まれ。1982年滋賀大学大学院経済学研究科修了。岡崎女子短期大学経営実務科、岐阜女子大学文学部観光文化学科、京都橘(女子)大学文化政策学部を経て、同志社大学政策学部教授。専攻は文化経済学、文化政策学、観光文化論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。