出版社内容情報
スイスに代表される中立政策の採用を、日本も議論した時代があった。気鋭の国際法学者が中立国の歴史と現状、日本の立場を問う。
はじめに
第一章 中立国とはどんな国か
一 中立国とは
中立とはそもそも何か
中立国の義務
動揺する現代の中立国概念
二 永世中立国とは
国際法上の永世中立国/中立主義国
第二章 中立国、その歴史
一 形成期
古代──ペロポネソス戦争
中世──正戦論、コンソラート・デル・マーレ
一五世紀?一六世紀──交戦国による制限
一七世紀?一八世紀──自由船自由貨主義、武装中立同盟、アメリカの中立
二 ナポレオン戦争
スウェーデンとデンマークの中立主義
スイスとクラカウの永世中立
マルタの永世中立
マルタとスイスの違い、ベルギーの永世中立、オランダの中立主義
三 確立期
一九世紀──パリ宣言の成立、ルクセンブルクとコンゴ自由国の永世中立
二〇世紀初頭──中立条約の成立、ホンジュラスの永世中立とノルウェーの中立主義
四 動揺期
第一次世界大戦──中立国の試練、アメリカの参戦
国際連盟──中立国の加盟、オーランド諸島の中立地帯化、アメリカの不参加
第二次世界大戦──中立国の試練、非交戦国アメリカ、フィンランドの中立主義
冷戦──伝統的中立国の中立放棄、オーストリアとラオスの永世中立
第三章 中立国と軍備
一 永世中立国の武装義務
中立条約上の防止義務
永世中立国の平時の義務
二 武装中立の有効性
武装中立の意義
武装中立の有効性に対する疑問
三 コスタリカの非武装中立
非武装中立の歩み
コスタリカの中立政策の特色
第四章 永世中立国、その役割と実情
一 永世中立国の国際貢献
対立する当事者間の架け橋・調停役
コスタリカ大統領アリアスによる中米紛争の調停
朝鮮戦争後の休戦協定
二 国連平和維持活動
PKOの意味と基本原則
冷戦後のPKO
変わりゆく公平性原則
永世中立国の参加
三 国際協調・連帯へのパラダイムの転換
スイスの立場
オーストリアの立場
イラク戦争
第五章 日本は永世中立国となるべきか
一 憲法九条の解釈
自衛隊の発足
九条の解釈
二 戦後の安全保障体制の推移
日米安保条約
国連の集団安全保障
三 新安全保障法制
新安全保障法制とは
新ガイドライン
集団的自衛権とは
存立危機事態における集団的自衛権の行使
新安全保障法制における他国軍隊に対する支援
改正国際平和協力法におけるPKOの任務遂行のための武器使用
四 日本の永世中立論
戦後から冷戦期
日ソ中立条約
冷戦後
あとがき
参考文献
礒村 英司[イソムラ エイジ]
著・文・その他
内容説明
二百年以上の歴史をもつ安全保障政策である中立政策。歴史上最も有名な永世中立国スイスを筆頭に、オーストリアやスウェーデン、フィンランド、コスタリカなどが永世中立や中立主義を掲げるが、現在中立政策は岐路に立っている。一方、戦後すぐの日本でも中立化が議論され、批判を受けつつも、非武装永世中立の可能性が論じられつづけている。
目次
第1章 中立国とはどんな国か(中立国とは;永世中立国とは)
第2章 中立国、その歴史(形成期;ナポレオン戦争;確立期;動揺期)
第3章 中立国と軍備(永世中立国の武装義務;武装中立の有効性;コスタリカの非武装中立)
第4章 永世中立国、その役割と実情(永世中立国の国際貢献;国連平和維持活動;国際協調・連帯へのパラダイムの転換)
第5章 日本は永世中立国となるべきか(憲法九条の解釈;戦後の安全保障体制の推移;新安全保障法制;日本の永世中立論)
著者等紹介
礒村英司[イソムラエイジ]
1970年生まれ。西南学院大学大学院法学研究科法律学専攻博士後期課程満期退学。西南学院大学非常勤講師、長崎県立シーボルト大学非常勤講師などを経て、福岡国際大学准教授。専門は国際法学、特に永世中立制度、武力紛争時の環境保護。国際法学会、日本平和学会所属(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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樋口佳之
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