出版社内容情報
地球温暖化は長い人類史の一コマに過ぎない。氷河期から21世紀まで、8万年にわたる気候変化と人類の闘いを解明する文明史。
内容説明
地球温暖化は長い歴史の一コマにすぎない!8万年にわたる寒冷化と温暖化の気候変化と人類は格闘してきたのだ。氷河期から21世紀まで、気候変化が歴史をどう変えたのかを詳細なデータから解明する文明史。
目次
プロローグ 人類の進化と気候変動(進化の画期と地球規模での気候の変容;現生人類の「出アフリカ」 ほか)
第1部 黎明編:気候変動が人類を育てた(寒冷な気候の中で;最終氷期の終わりとヤンガードリアス・イベント ほか)
第2部 古代編:気候変動が文明を生んだ(「長い夏」の終わりと古代文明の勃興;繰り返される寒冷化、突然の干ばつ ほか)
第3部 中世・近世編:気候変動が歴史を動かした(中世温暖期の繁栄;寒冷な時代の到来 ほか)
エピローグ 気候変動との闘いは続く(二十世紀の気候;次の氷期はいつ来るか? ほか)
著者等紹介
田家康[タンゲヤスシ]
気象予報士、日本気象予報士会東京支部長。1959年神奈川県生まれ。81年横浜国立大学経済学部卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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南北
46
人類の進化や文明の興亡に気候の変動が大きく関わっていると論じている本です。現代は氷期と氷期の間の間氷期であり、比較的温暖な時代としていますが、それでも1960年代を中心とした寒冷の時期もあります。本書でも述べているように気候の変動だけが文明の興亡の原因と考えるのは誤りですが、従来の歴史学では気候の変動を考慮に入れない議論が展開されていたので、こうした観点で歴史を再検討する必要があるかもしれません。単に「地球温暖化」で大騒ぎするのではなく、激変する可能性がある気候に今後もどう対応していくかが重要です。、2020/02/03
うえぽん
37
人類の活動に焦点を当てる歴史の見方に抜本的な修正を迫る意欲作。筆者は気象予報士で、専門書でも研究論文でもないとするが、綿密なデータや仮説の収集の賜物。人類の移動や文明の浮沈、飢饉や反乱の背景として、地球規模の気候変動が相当寄与してきた可能性は高いだろう。ファラオの洪水予知に基づく権威が乾燥化によって失墜したとの話や、巨大噴火による気温低下がネズミの天敵の哺乳類を減らし、ネズミの棲息域の拡大がペスト禍に通じ東ローマ帝国滅亡の遠因となったとの話は興味深く、地球温暖化もlinearな予測だけでは不十分に思える。2024/03/07
haruka
26
人類の進化に気候は必ずかかわっている。エジプト文明の担い手はどこからやってきたのか。ヒッタイトと殷の同時期の滅亡は偶然の一致か?宗教の革新が寒冷化と歩調を合わせているのはなぜなのか。気候の視点から探る。完新世最温暖期に農業と人口増が世界中で起こった。気候、人口、農業のどれが先かはっきりしないが、うまく連動してとにかくそれは起こった。その後また寒冷化したが、狩猟採集に戻れるはずもなく。長い長い目で見たら私たちは今まだ最温暖期の直後にいて、人口爆発という副作用に苦しんでいるのではないかと思った。2024/03/25
sasara
21
気象予報士 田塚康さん著 約1万年前最終氷河期後も太陽の活動と火山噴火により温暖と寒冷を繰り返し、産業革命以降二酸化炭素による著しい温暖化 (ただし8世紀〜13世紀の中世温暖期と同等とも) 過去激しい気候変動の都度、叡智あるいは民族移動、侵略等で危機を乗り越えてきた人類はこの危機に感情ではなく科学的エビデンスで更なるアップデートが出来るかが試されているようです。2021/01/09
雲をみるひと
12
気候変動と歴史の因果関係について論じた本。有史時代に入ってからも数度の平均気温の波動があり、それが人口減イベントや民族移動に影響を与えているという説は目から鱗だった。この分野は、研究を進めれば将来の地球環境を予測出来そうで興味深い。もっとも今生きている人間が知り得ない時間スケールでの将来だが…2019/03/27