出版社内容情報
自然界は弱肉強食の厳しい社会だが、弱そうに見えるたくさんの動植物たちが、優れた戦略を駆使して自然を謳歌している。植物たちの豊かな生き方に楽しく学ぼう。
内容説明
自然界は弱肉強食の厳しい社会だが、弱そうに見えるたくさんの動植物たちが、優れた戦略を駆使して自然を謳歌している。植物たちの豊かな生き方に楽しく学ぼう。
目次
第1章 植物はどうして動かないのか?―弱くて強い植物という生き方
第2章 植物という生き物はどのように生まれたのか?―弱くて強い植物の進化
第3章 どうして恐竜は滅んだのか?―弱くて強い花の誕生
第4章 植物は食べられ放題なのか?―弱くて強い植物の防衛戦略
第5章 生物にとって「強さ」とは何か?―弱くて強い植物のニッチ戦略
第6章 植物は乾燥にどう打ち克つか?―弱くて強いサボテンの話
第7章 雑草は本当にたくましいのか?―弱くて強い雑草の話
著者等紹介
稲垣栄洋[イナガキヒデヒロ]
1968年静岡市生まれ。岡山大学大学院農学研究科修了。農学博士。専攻は雑草生態学。農林水産省、静岡県農林技術研究所等を経て、静岡大学大学院教授。農業研究に携わるかたわら、雑草や昆虫など身近な生き物に関する著述や講演を行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yumiko
82
折に触れて読む植物に関する本。今作は学生向けでもあり、とても楽しく読める一冊になっている。なぜ動かない?木と草どちらが新しい?御神木にスギが多いのは?等々、魅力的な問いかけがいくつもあって、それが全て理論的に解説される様はまるで上質なミステリを読んでいるかのよう。またどれも植物の素晴らしい戦略に圧倒される真相なのだ。一番のお気に入りはタンポポの話。西洋タンポポに押され、姿を消しつつ見える日本タンポポ。ところがなんと!そこには日本の自然を知り尽くした日本タンポポの戦略があった!気になる方は是非読んで確認を♪2018/04/16
楽
50
16年。「中高生や学生の皆さん向けに、わかりやすく植物の話を書いてほしいという企画を受けて、書き下ろした」とのこと。序盤のシダ植物の前葉体(ハート型のアレ)あたりは生物の授業を思い出す。前葉体も含めてたまに出てくる挿し絵がいい味を出している。結局、自然選択、適者生存(この言葉の使い方には注意が必要)という感じ。中屋敷均『ウイルスは生きている』、福岡伸一『動的平衡』の流れで読んだが、求めていたものはあまり得られず。次は『「死」とは何か』にしようか。恐竜は隕石衝突以前から被子植物の進化により衰退していたとか。2023/02/28
baba
47
実用書が好きな息子に薦められ手にする。確かに面白い。38億年目に生命が誕生して5億年前に陸地が現れ、4億7千年前に植物が上陸したという出だしから引き込まれ、植物は動かなくても生きていける、動物は動かないと生きていけない。生存競争に勝ち抜き、食べられるだけの植物が本当は強い。柔らかな強さが実に興味深い。2019/07/14
ひめありす@灯れ松明の火
45
装丁が面白いですね『草生えてる』さすがクラフトエヴィング。はずしません。これも資料本なのですが、残念ながら欲しい情報は載って無かったです。でも、思いろいことが沢山。あの夏の夜に跳梁跋扈する黒光りするあいつら!あいつら足の付け根に脳があるんですって。だからあんなにしゃかしゃか速いんですって!!そりゃ人間追い付けないはずですよね。西洋タンポポと日本タンポポの話。一つの条件で考えてはいけない。プロ野球選手と高校球児。所属するチームの歌をどれだけ正確に大きな声で歌えるかだったら高校球児が圧勝するかも。そんな本です2016/05/25
TakaUP48
43
植物の生き方は、「変えられるものを変える」「戦う場所を選ぶ」ということ。植物の乾燥ストレスの対応は、逃避:土中に球根、回避:根を張って水分吸収、耐性:気孔を閉じる・浸透圧の調整。植物の戦略は、競争型・ストレス耐性型・撹乱適応型があり、後者の2つは戦場を選ぶ。動物と違って、植物は部分から全体を作ることができるので、同種でもサイズがまちまち。日本の家紋では、カタバミなど雑草をモチーフにしたものも多く、しぶとさと子々孫々までの家の繁栄を願ったからだろう。「弱くて強い」のが植物という生きものの姿だ!2020/06/30