出版社内容情報
稀代の名人、紀文寿司四代目・関谷文吉氏が遺した究極の魚食エッセイ。本気で美味い魚を食べたいなら本書を読むべし! 解説 カラペティバトゥバ長雄一
内容説明
稀代の名人として名を馳せた浅草「紀文寿司」四代目、関谷文吉。味覚の鋭さ、味のセンスは群を抜き、名だたる料理人たちからも一目置かれていた。そんな文吉親方が語り尽くした真に美味しい魚の食べ方。旬の季節、産地の良し悪し、適した料理法、酒やワインとの相性等々を、天才的感覚をもとに披露する。一段上の味わい方へと誘う究極の魚食エッセイ。
目次
食の香り
サザエは磯の香かおる緑色の味わい
ヘミングウェイの鋭い味覚、カキは銅の味
ホヤに漂う樟脳の香り
西施の舌とミルガイの不気味な棒
飽食の貧困のなかで絶えてゆくハマグリ
海酸漿と環境ホルモン
荒波の魚は本当に旨いか
鍋考―タイちり、フグちり
海に浮かんだ眼玉のようなアンコウのさしみ〔ほか〕
著者等紹介
関谷文吉[セキヤブンキチ]
1948年、東京浅草生まれ。中央大学卒業。明治36年創業の浅草の老舗「紀文寿司」の四代目として、多くの寿司好きを唸らせてきた。ワイン通としても知られており、紀文寿司は日本一モンラッシェを売った寿司屋と言われている。2007年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Shoji
51
こよなく魚を愛する寿司職人が書いた本です。経験と度量に裏打ちされた最も美味なる魚の食べ方のウンチクです。決して奢らず、控えめなスタンスが何とも心地よいです。魚、酒にとどまらず空気感まで美味しい一冊でした。2019/12/24
たまきら
31
美味求真かとおもって手に取ったら、非常に有名なお寿司屋さんによる魚の薀蓄がたくさん詰まった楽しい一冊でした。自分的にはとくに東京湾が失ったハマグリの話が身に染みました。知らないうちに失ってしまったもの。それは下町の風景も一緒。すごく懐かしい気持ちになりながら読みました。魚やお鮨だけでなく、下町の雰囲気を楽しめる一冊です。2020/03/05
イロハニ
14
読前には連夜の閉店直後、暖簾を仕舞う手もそこそこに繰り広げられる味談義の連作短編集かと思ったが見事にハズレた。関谷文吉…浅草は老舗「紀文寿司」四代目。33章あるその内容たるや某調理師専門学校の日本料理学部鮨学科主任教授の趣である笑。栄養学生物学、文学、史学等々まで動員して水産物の百花繚乱ぶりを著す。その味は舌の平面感覚から嗅覚により三次元化されて音階と旋律さえ醸し、ワインも又然りと諭す良きガストロノミ本。本著の論調からみて今のSDGsへの見識の一端も別書にて拝読出来た気もする。平成19年没早逝が惜しまれる2023/07/23
niz001
5
活アンコウの刺身・タイの酒盗・貝の塩辛、食べてみたいものが多い。2020/01/19
石橋
1
魚を味わうことについて真を探求されていると思う。しかし実際のところ味覚なんて曖昧で適当なものだしさー…という雑念が浮かんで読了に時間がかかった。2021/11/23