出版社内容情報
回復しないとされた立体視力が四八歳で奇跡的に戻った時、風景も音楽も思考も三次元で現れた──。神経生物学者が自身の体験をもとに、脳の神秘と視覚の真実に迫る。
内容説明
視覚は二~三歳を過ぎると正常に発達しないとされる。著者も幼時に斜視だったために二次元視力しかなかった。ところが、四八歳にして彼女は奇跡的に立体視力を得る。それは劇的な変化だった。世界が3Dで見えるというだけではない。音楽も思考も三次元で現れたのだ―。神経生物学者が自らの体験をもとに、脳の驚異的な能力、視覚と脳の真実に迫る。
目次
第1章 立体視力のない状態
第2章 混乱していた幼少期
第3章 学校での受難
第4章 どこを見ればいいのかを知る
第5章 視線を固定させる
第6章 あいだの空間
第7章 ふたつの目が一体となって見るとき
第8章 素質か環境か
第9章 視覚とその修正
著者等紹介
バリー,スーザン[バリー,スーザン][Barry,Susan R.]
マウント・ホリオーク大学生物学部の神経生物学教授。現在は、四八歳で立体視力を取り戻した自らの経験と学問的知識をもとに、神経の可塑性に関する講演を各地で行なっている
宇丹貴代実[ウタンキヨミ]
翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しまざき
2
立体視は、従来臨界期とされていた時期を過ぎても獲得できる。大人になってから立体視を獲得した人の「三次元のクオリア」2020/10/08
kgbu
2
著者自身が幼児期に斜視と診断されたときの処置により 筋肉が調整されて見かけの視線はほぼ正常になった。 大人になってから検査したところ、 上下方向の微妙な視線のずれが一方の眼の情報を遮断していた。 それを矯正し、その上で両目が協調して働くような訓練を提案された。 その結果著者は立体視ができるようになった。 幼児期の臨界期というものは厳格に固定されたものというよりは通常は感覚が完成する時期に相当し、それ以後は機能に応じた訓練やノイズの除去なしには機能の維持ができないというのが実情なのかもしれない。 2016/12/30
どさんこ
0
個人的な内容の部分はともかく、立体視を得ることの技術と脳の可塑性については驚く。2021/08/20
みたきな
0
幼い頃から斜視で両眼立体視のできたことのない自分にとっては、「不思議」と「希望」と「洞察」に満ちた運命的な一冊でした。 今回じっくり時間をかけて、精読しました。 まだすべてが頭には入っていないのだけど、ゆっくり読んでみて今回感じたことは、 片目だけで世界を見ることと、両目を使って世界を見ることはぜんっぜん違う体験なんだ、という実感と、 動物実験から得られた知識を人においてもそうだと早合点させてしまった人たちへの批判と、 おとなになってからでも能動性があれば配線を変化できる脳への驚きの3つでした。2019/08/01