出版社内容情報
本書は初期地球における生命と地球環境の進化についての教科書であるが,国内外の最新の成果をふんだんに取り入れていること,従来の教科書で通説とされているような事柄を批判的に検証する視点を提供していること,そして筆者自身の研究について詳しく解説している点が一般的な教科書とは趣を異にする。
前半の3分の2は教科書的な作りにし,このテーマに関する様々なトピックや論争を紹介しつつ,それらを理解するために必要な基礎的な地球科学と生物学の知識を獲得出来るように図を多用することも含め工夫した。後半の3分の1は筆者が西オーストラリアの荒野(“ブッシュ”と呼ぶ)で偶然発見した30億及び34億年前の微化石の正体に迫るプロセスを時系列的にノンフィクション風に書いた。微化石を見つけた2001年から初めて論文を発表した2007年までを比較的くわしく,さらに2015年に発表した最新の論文にまで言及することで,研究の(人間臭く)ダイナミックな側面を読者に感じてもらいたい。
第1章 「太古代」とは
第2章 太古代の生命痕跡―その1
第3章 太古代の生命痕跡―その2
第4章 太古代の生命痕跡―その3
第5章 「生命」はいつ,どこで,どのように?
第6章 現生生物に見る多様性と生態系―太古代生命理解のために
第7章 原核生物と真核生物,それらをつなぐシアノバクテリア
第8章 先カンブリア時代の地球表層環境
第9章 太古代表層環境に関する新知見―酸素を巡って
第10章 謎の太古代大型微化石―その1
第11章 謎の太古代大型微化石―その2
第12章 謎の太古代大型微化石―その3
第13章 謎の太古代大型微化石―その4
第14章 太古代大型微化石の謎にせまる
内容説明
自然科学の各分野におけるスペシャリストがコーディネーターとなり、「面白い」「重要」「役立つ」「知識が深まる」「最先端」をキーワードにテーマを選びました。第一線で研究に携わる著者が、自身の研究内容も交えつつ、それぞれのテーマを面白く、正確に、専門知識がなくとも読み進められるようにわかりやすく解説します。
目次
「太古代」とは?
太古代の生命痕跡
「生命」はいつ、どこで、どのように?
現生生物に見る多様性と生態系―太古代生命理解のために
原核生物と真核生物、それらをつなぐシアノバクテリア
先カンブリア時代の地球表層環境
太古代表層環境に関する新知見―酸素を巡って
謎の太古代大型微化石
太古代大型微化石の謎に迫る
著者等紹介
杉谷健一郎[スギタニケンイチロウ]
1991年名古屋大学大学院理学研究科博士後期課程修了、理学博士。現在、名古屋大学大学院環境学研究科都市環境学専攻教授。専門、宇宙生物学、環境科学
掛川武[カケガワタケシ]
1997年米国ペンシルバニア州立大学大学院修了(Ph.Dr.)。現在、東北大学大学院理学研究科地学専攻教授。専門、生命起源地球科学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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