出版社内容情報
電池は社会になくてはならないデバイスであり、なかでもリチウムイオン電池(二次電池=蓄電池)は次世代電池として注目を集め、広く活用されています。身の回りを見ても、スマートフォンやタブレット、ビデオカメラなどのポータブル・モバイル電子機器や電気自動車にはリチウムイオン電池が搭載されています。本書では、電池の基本解説から、リチウムイオン電池を含む二次電池の特徴、全固体電池など次世代電池についてわかりやすく解説します。
目次
第1章 化学電池の基礎(身のまわりにあふれる多種多様な電池;化学電池を形状で分類する ほか)
第2章 乾電池と二次電池(乾電池の構造としくみ;アルカリマンガン乾電池はなぜ「アルカリ」か ほか)
第3章 いろいろな二次電池(ニッケル系の二次電池;ニッケル・カドミウム電池 ほか)
第4章 リチウムイオン電池とその仲間(リチウム系電池の歴史と一次電池の特徴;リチウムイオン電池の定義と原理 ほか)
第5章 次世代二次電池の有力候補(次世代二次電池の先頭を走る全固体電池;リチウム硫黄電池は夢の金属リチウム二次電池 ほか)
著者等紹介
白石拓[シライシタク]
1959年、愛媛県生まれ。京都大学工学部卒。サイエンスライター。弘前大学ラボバス事業(文科省後援)に参加、「弘前大学教育力向上プロジェクト」講師(2009~15年)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たこ焼き
7
リチウムは電圧が強い。過充電となると充放電とは違う新しい化学反応が起こる。熱暴走は熱をコントロールできない状態。ニカド電池はカドミウムが有害。ニッケル水素電池がアルカリ電池で最も成功している電池。NAS電池は大容量で高出力、鉛蓄電池よりも安価でリチウムイオン電池と同程度のエネルギー密度、耐久性もサイクル寿命も長い。自己放電も少なくメモリー効果もないが、大電力を放出できず温度を300度に保たないといけない。発火しても水系の消火剤が使えない。レドックス電池はタンクが必要で小型化が難しい。2024/04/08
Kasuke Fujita
6
仕事で必要になり購入。電池の各性能(電圧、出力、容量)の定義や電池の劣化のメカニズムがとてもわかりやすかった。加えて、リチウムイオン電池における正極活物質の違いがどのように性能へ影響するか、一番知りたいことが明確で大変勉強になった。驚いたのは大学院時代に研究していたニトロキシドラジカルを正極剤に用いた有機ラジカル電池。多くの技術者が鎬をけずる二次電池。子供が電子教科書として一日中使用できるような軽量大容量の新型電池に携わってみたくなる。2023/01/08
naolog
3
図書館にて。化学反応も含めて分かりやすく、丁寧に書いてあった。どうやって電池の公称電圧が決まってくるのか、など生活上の導きも。バイポーラ型二次電池の嬉しさもよくわかった。2023/02/11
Jiemon
3
2次電池の種類と性能についてはきっちりとまとめてあり非常に分かりやすかった。電池の公称電圧は、その陽極と陰極の素材間の酸化還元作用によって決まる物性値ということを初めて知った。なんで、マンガンやアルカリ電池は1.5Vでなきゃならないのだろうという長年の疑問がやっと解けた。リチウムイオン電池にもいろいろな種類があるのも分かった。なるほどコバルト酸リチウムイオン電池は主流かもしれないが、我が家のコードレス掃除機は安全性に課題のあるニッケル系リチウムイオン電池を採用していた。用途に合わせて使い分けているみたい。2021/02/15
きゃすばるニイヤン
0
仕事で電池製造業の方との接点があり、浅い知識でやりくりしてました。ところが技術の革新が早く、原理について知識を高める事を目的にスタートアップに図書館で借りました。秀逸の内容です。乾電池から近未来的な要件まで網羅されてます。知識についても求めていたレペル以上のものが得られ、目的は十二分に満たされました。 今後のため、購入も検討します。おすすめです。2021/01/17