出版社内容情報
橋本 努[ハシモト ツトム]
著・文・その他
内容説明
『プロ倫』はなにを解き明かしたのか?本当にその試みは成功していたのだろうか?いま受け取るべきメッセージはなにか?超難解書の全体像を、平明で丁寧な文章で徹底解説。「天職」概念や二重予定説といったプロテスタントの教説から、いかにして資本主義を駆動するものが生まれ出でたか。「近代という問題」の核心をえぐる思考のエッセンスを汲み、これまで気づかれなかった現代的意義を探りあてる。これが、ウェーバーの言いたかったことだ!
目次
序章 ウェーバーってどんな人?
第1章 「問題」はどこにあるのか?
第2章 資本主義の精神とはなにか?
第3章 「天職」の概念が生まれた
第4章 禁欲的プロテスタンティズムの倫理とはなにか?1
第5章 禁欲的プロテスタンティズムの倫理とはなにか?2
第6章 天職倫理と資本主義
第7章 現代社会で生きる術を考える
補論
著者等紹介
橋本努[ハシモトツトム]
1967年、東京都に生まれる。横浜国立大学経済学部卒業。東京大学大学院総合文化研究科課程単位取得退学。博士(学術)。現在、北海道大学大学院経済学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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takam
16
「プロ倫」を読む前にウェーバーの「世界宗教の経済倫理」で挫折しているため、本書を手に取った。本書の要旨はいくつかあるウェーバーの解説書と同様で、分かりやすい。プロ倫を読むにあたり前提知識を与えてくれるという点では本書の存在はありがたく感じる。ウェーバーの考えは今では時代遅れの感じもあるが、働くということを分からずに働いている現代人にとってもっと読まれても良いのではと思う。次はウェーバーの原著にチャレンジしたい。2019/12/08
Miya
9
『プロ倫』の解説本。当時の歴史背景を知らずとも、古典を読み解くことができたので非常にありがたい一冊。原著にも目を通さねば。 「禁欲的プロテスタンティズムの天職倫理」と「資本主義の精神」がほぼ同一であることは理解したが、プロテスタントがほぼ広まっていない日本において、「資本主義の精神」の興隆を助けたものはなんだったのだろうか。 また、日本人は一見禁欲的であるが、「資本主義の精神」は基盤となる「禁欲的プロテスタンティズムの天職倫理」を内包して運ばれてきたのだろうか。 この二つが疑問として残った。2020/06/30
とび
4
独社会学者ウェーバーの代表作「プロ倫」の解読書。プロ倫の要約は以下の通りである。プロ倫の舞台は、プロテスタンティズムが勃興した16世紀以降の西洋社会。ウェーバーは、快楽主義を排してひたむきに貨幣を獲得し、獲得した全ての貨幣を全て投資に回すという「資本主義の精神(資本増殖の心性)」というのは信仰深いプロテスタントたちの禁欲生活から生まれたと主張した(決して貪欲さや金銭欲からではない)。その因果関係関係を、ルターの「天職概念」、二重予定説、信団の形成、バクスターの天職倫理などの観点から多角的に解説した。2021/04/19
Yakmy
3
禁欲的プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神の結びつき。合理的な生活への意識が、それぞれの富の蓄積を生み出したという論理がスッキリと理解できた気がする。書かれた時代背景は「西洋の没落」の時代だったという。何となく、現代の相似してる気がする。発展しつくた資本主義の行末を見定めるために立ち返る書か。2019/12/24
Ohno Takeshi
3
ようやくウェーバーに会えた気がする。 投資家は何を求めているのか、起業家は何を実現しようとしているのか。そうした問いではなく、投資家がどうあるべきか、起業家が大切にすべきかを問う倫理的な背景が良くわかった。人間の欲求は際限なく、何かが歯止めにならないといけない。現在のスチュワードシップコードの原型なのかもしれません。2019/12/19