出版社内容情報
新学習指導要領がもたらす未来は本当にバラ色なのか? 明治から平成に至る教育史を辿りながら、2020年実施の改革の問題を探る。2020年教育改革の先はバラ色の未来なのか?
学力は向上するのか? 学力格差はどうなるのか? 学校や教師の負担は? 新しい大学入試は?……
2020年教育改革の目玉であるアクティブラーニング=主体的・対話的で深い学び。
学校教育が変わる、子どもたちの学びが変わると期待や希望ばかりが語られるが、問題はないのか。
教師が知識を一方的に教える教育から、子どもたちが進んで学ぶ教育へ――。
明治以来の教育関係者の悲願は、大正時代の新教育、近年のゆとり教育をはじめ、どのように取り組まれ、どのように挫折してきたのか。
教室でほんとうにアクティブラーニングを実践できるのか。大学入試は適切に運用されるのか。そもそもよいことなのか。〈学び〉の近現代史を辿りながら、現在の教育改革の問題に迫る。
アクティブラーニングをめぐる五つの幻想
第一の「幻想」は、先行き不透明な未来社会を生きる子どもには、アクティブラーニングが必要で、これまでの教育では目標を達成できないだろうという前提です。
第二の「幻想」は、活動的な学び(アクティブラーニング)をおこなえば、子どもたちは主体的・能動的に学ぶ(アクティブラーニング)ことができるだろうという前提です。
第三の「幻想」は、学校でアクティブラーニングを経験すれば、知識や技能を活用できる新しい学力(思考力・判断力・表現力)、学ぶ意欲や「生きる力」が高まるだろうという前提です。
第四の「幻想」は、研修や指導を通じて教師自らが主体的に学ぶ機会を提供すれば、どの学校や学級でもアクティブラーニングが達成可能になるだろうという前提です。
第五の「幻想」は、以上の四点より、アクティブラーニングは好ましく、国の教育政策として導入されるべきだという前提です。――「はじめに」より
アクティブラーニング/主体的・対話的で深い学びとは何か
近代教育史の〈アクティブラーニング〉――大正新教育・戦時下新教育
戦後教育史の〈アクティブラーニング〉――戦後新教育・民間教育研究運動
平成教育史の〈アクティブラーニング〉――新しい学力観・総合的な学習の時間
未来のアクティブラーニングに向けて
小針 誠[コバリ マコト]
著・文・その他
内容説明
2020年教育改革の先はバラ色の未来なのか?学力は向上するのか?学力格差はどうなるのか?学校や教師の負担は?新しい大学入試は?“学び”の近現代史を辿り、教育改革を疑う。
目次
第1章 アクティブラーニング/主体的・対話的で深い学びとは何か(授業が変わる 学びが変わる;大学の授業改革―第一期 ほか)
第2章 近代教育史の“アクティブラーニング”―大正新教育・戦時下新教育(近代学校の矛盾と「教育改造」;成城小学校の自学自習―ドルトン・プラン ほか)
第3章 戦後教育史の“アクティブラーニング”―戦後新教育・民間教育研究運動(戦後教育改革;戦後新教育の展開―カリキュラムの自主編成 ほか)
第4章 平成教育史の“アクティブラーニング”―新しい学力観・総合的な学習の時間(平成教育史を描く;「ゆとり」の登場 ほか)
第5章 未来のアクティブラーニングに向けて(歴史から何を学ぶか;実践上の課題―教室で実践できるのか ほか)
著者等紹介
小針誠[コバリマコト]
1973年、福島県生まれ、栃木県育ち。慶應義塾大学文学部卒業、東京大学大学院教育学研究科博士課程修了。博士(教育学)。専門は教育社会学・教育社会史。同志社女子大学現代社会学部准教授などを経て、青山学院大学教育人間科学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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