ブルーバックス<br> 低温「ふしぎ現象」小事典―0℃~絶対零度で何が起こるか?

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低温「ふしぎ現象」小事典―0℃~絶対零度で何が起こるか?

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  • サイズ 新書判/ページ数 249,/高さ 18cm
  • 商品コード 9784062577519
  • NDC分類 426.7
  • Cコード C0240

出版社内容情報

マイナス2.15℃の南極海をすいすい泳ぐ魚が、釣り上げたとたんに凍りつく理由とは!?氷点下の謎を網羅した「温度別」読む事典。

「温度の底」に向かうエレベーターに乗って

 私たちがふだん生活している環境の温度は、「室温」と呼ばれています。寒い日も暑い日もありますが、絶対温度(ケルビン=K)という単位できりのいい300K程度、すなわち約27℃あたりを指す言葉です。
 0℃で水が氷になることは、みなさんご存じのとおりです。ところが、氷点下を超えてどんどん温度を下げていくと、室温ではまずお目にかかることのできない「ふしぎ現象」が続々と姿を現します。いったい何が起こるのでしょうか? 極めて低い温度に到達するには、どんな技術が必要でしょうか? 果たして「温度の底」は存在するのでしょうか?
 この本は、私たちが生活している温度から出発して低温の世界を探求する、好奇心あふれる旅への案内書です。みなさんは今、室温から温度の底へと向かうエレベーターに乗っていると想像してください。外の温度が下がっても凍りつくことのないように、エレベーターの壁面は断熱ガラス張りになっていますので、どうぞご安心を。私たちは、エレベーターが下がっていくそれぞれの温度で、ふしぎで面白い現象を見ることができます。
 0℃(273K)から少し下がったあたりでは、一度凍った魚が生き返って泳ぎ出しています。音を使って温度を下げている人の姿もありますね。
 この地球上で自然に得られる最も低い温度はマイナス89℃(184K)、極寒の大陸・南極で経験できます。南極では、コップのお湯を空中にまくと、瞬時に氷の花火が咲きます。
 エレベーターがさらに下がっていくと、周囲の空気が冷えて液体へと変化します。温度はマイナス183℃(90K)。電気抵抗がゼロになる「超電導」現象が生じています。
 2・177K、実にマイナス273℃以下という低温では、奇妙な液体ヘリウムの世界が登場します。忍者のように壁を這い上がり、わずかな隙間をもすり抜ける超流動液体です。極低温ならではの、超電導磁石を駆使する高エネルギー物理学者、あるいは宇宙からの赤外線天体観測を行う人たちにも出会うことでしょう。
「温度の底」へと向かうエレベーターは、果たして目標の地点に到達できるのでしょうか?

1章 低温の世界へようこそ 常温~-20℃

・アインシュタインが考案した冷蔵庫
・送電塔を倒す霜柱の驚異
・味を一瞬で封じ込める――冷凍と解凍の科学
・凍った魚が生き返る!――生体冷凍保存術
・凍傷としもやけ――本当は恐ろしい低体温症の話
・実は百家争鳴――スケートが滑る理由は謎だらけ
・永久凍土を融かすな!

2章 「極寒の大陸」南極の低温世界 -1.4℃~-78℃

・南極海で「凍らない魚」を発見!
・天を突く「光柱」の正体は?
・真横にたなびく煙!?
・お湯で打ち上げる糸花火
・観測史上最低気温
・オゾン層破壊の前兆「紫色の雲」

3章 極低温技術の驚異 -108℃~-269℃

・超ヘビー級の低温液体でダークマターを捉える
・「超電導現象」現る!
・木星の内部は超電導状態?
・低温目玉焼き
・低温爆薬!?

4章 「永久気体」も凍りつく 4K~2.2K

・そして“永久気体”も液体になった
・超流動――量子レベルの奇妙なふるまい
・壁を這い上がる“忍びの液体”
・音楽に合わせて踊る「超流動噴水」
・“忍びの液体”が宇宙進出!?

5章 究極の低温 1K~0K

・絶対零度まであと一歩!
・磁石を使って冷却する
・原子の振動を抑え込む「レーザー冷却」
・宇宙一低温なのは地球!?
・比熱がゼロになる
・負の温度って何?
・人工衛星はなぜ冷やさなければならないのか?

内容説明

凍った魚が蘇る「生体冷凍保存術」。最高の美味を極める「冷凍と解凍の科学」。本当は恐ろしい「低体温症」の話。無風なのに真横に煙がたなびく南極大陸の怪奇。ダークマターを捉える超ヘビー級の低温液体。電気抵抗がゼロになる「超電導」や、壁を這い上がる忍者液体「超流動」。氷点下をはるかに下回る世界で、なぜ「ふしぎ現象」が生じるのか、低温技術で何ができるかを網羅した「温度別」読む事典。

目次

1章 低温の世界へようこそ―常温~-20℃(天然のウォータークーラー―レトロ技術でどこまで冷える?;アインシュタインが考案した冷蔵庫 ほか)
2章 「極寒の大陸」南極の低温世界―-1.4℃~-78℃(南極海で「凍らない魚」を発見!;「氷山の一角」が60m!? ほか)
3章 極低温技術の驚異―-108℃~-269℃(超ヘビー級の低温液体でダークマターを捉える;LNGの利用は「効率」が命 ほか)
4章 「永久気体」も凍りつく―4K~2.2K(そして“永久気体”も液体になった;“永久液体”の正体 ほか)
5章 究極の低温―1K~0K(同位体を使って絶対零度に迫る―希釈冷却の秘密;絶対零度まであと一歩!―ヘリウムのもう一つの顔 ほか)

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ゆぎ🖼️

24
南極海は水の流れと海水が氷点を下げているため全体が凍ることがない。 霜柱はメカニズムが解明されていないが、氷面を地中の水分が毛細血管のように?押し上げているのだとか。 熱は伝導と対流と放射で他の物質に伝える。遮断するのは真空状態にするということで、魔法瓶が発明されたそう。 山の雪は風で水分が飛んでサラサラのパウダースノーになる。なるほど。技術関連の話は難しい(@_@)💦2021/12/07

J_Kai

1
前半は、日常にある低温や身近な現象を解説していて、とても読みやすい。後半は、物理学の世界に興味や知識がないと、読み進めるのが大変。冷やすってどうやるのかな?ってことが少しわかる本です。2015/01/04

キンタロー。

1
典型的な文系人間の私からしたらオッパッピー!(´Д` )でした。 このような分野に少しでも耐性をつけるべく、少しづつ色んな書籍・文献等を素人なりにも読んでいこうと思う。2013/04/05

tamnavulin_1968

1
超流動、興味深い。2012/06/15

にたす

1
初めの方は南極で起きる珍しい現象くらいだったのが、途中からは超流動ヘリウムの話が大部分を占めるように。図では簡単に描かれている実験の方法についてかなり詳しく説明があるから、設備を使える環境と知識があれば再現できるようになっている? 「綿で栓をしておくとよいでしょう」と言われても。最後はまた量子力学か……という感じ。2012/02/04

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