内容説明
もともと他者へと開かれているはずの現実の生を否認する諸制度―母語、主体性、文学などが、ナショナリズムの安逸に奉仕するものとして徹底的に批判される。新しい社会性の構築への目のくらむような理論的挑戦。
目次
1 序論 翻訳と主体
2 日本思想という問題
3 西洋への回帰/東洋への回帰―和辻哲郎の人間学と天皇制
4 文化的差異の分析論と日本という内部性―主体そして/あるいはシュタイと国民文化の刻印
5 「文学」の区別、そして翻訳という仕事―テレサ・ハッ・キュン・チャの『ディクテ』と回帰なき反復
6 戦後日本における死と詩的言語