森林社会デザイン学序説

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森林社会デザイン学序説

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  • サイズ A5判/ページ数 317p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784889651584
  • NDC分類 651.1
  • Cコード C0061

出版社内容情報

自然と人間の新たな共生関係を目指して! <森林社会>の実現をライフワークにしてきた著者が、これまでの論考を集大成し、新たな進路を示す。

はじめに 3

第Ⅰ部 時代的状況 11
 1章 いま、「まちとむらをむすぶ」とはどういうことか 13
  自然・風土・文化・人間 ―環境性と主体性― 13
  自然への身体の配置と環境 15
  森林施業および林業構造の基礎的理解 17
  ローカルな思想を創る 19
  市場経済を組み替える 21
  ローカル・コモンズと公共性 23
  連帯・提携とネットワーク 25
 2章 安定社会に向けて 31
  はじめに 31
  来るべき時代 31
  現状から未来へ 35
   (1)県森林審議会 35/(2)ツキノワグマの保護管理 36/(3)県林業公社の見直し 38
  里山管理について 39
   (1)林業と森林経営 40/(2)環境資源としての里山マネジメント 42/(3)雑木林林業の可能性 44

第Ⅱ部 森へ、そして森林社会へ 49
 3章 森林社会への道 51
  森林社会のイメージと時代状況 51
  日本の農山村は、いま 55
  里山的世界 58
  森への旅 60
  21世紀に引き継ぎえる林業経営 61
  生命系の「安定社会」にむけて 64
 4章 地域のなりわいとエコツーリズム 69
 109/(2)株式会社たもかく 110/(3)どんぐり銀行 111
  森への旅と旅行業 112
  <附>ブッグガイド①:木平勇吉編著『森林環境保全マニュアル』 115

第Ⅲ部 中山間地域の存在性 119
 6章 森をめぐる営みの確かさ ―日本の「山村らしさ」にあったもの、あるもの― 121
  はじめに 121
  生業としての林業 122
  山に生きる暮らし 125
  里山をもつランドスケープ 128
 7章 出雲の築地松 ―生きられる景観― 131
  はじめに 131
  屋敷森と散居集落 132
   (1)斐伊川の東進と開田 132/(2)屋敷森の暮らし 136
  築地松 ―その用と美― 138
   (1)防風とマツ 138/(2)ノーテゴリ(陰手刈り) 139/(3)屋敷構え 140
  景観の衰退 143
  むすび 145
 8章 たたらと里山 149
  はじめに 149
  たたら製鉄の発展と消滅 151
  山内 ―鉄を湧かす里― 155
  たたら山(鉄山)について 157
  地域編成力としてのたたら経営 ―もう一つの「里山」― 160
  未来に向けてのサト・ヤマ論 ―「森と里の思想」の再検討― 162     5)自然享有権 223
 11章 林業・木材産業の地域的再生 ―三重県松阪木材コンビナートの創設をめぐって― 225
  はじめに 225
  製材産地としての松阪 226
  コンビナートの全容 229
  大型並材製材工場の設立と住宅部材の安定供給 237
  原木の安定供給体制 241
 補章 環境問題と経済 ―切り口、スタンス、コンセプト― 247
  序  論 247
  環境問題と森林・林業 251
  <附>ブックガイド②:大田伊久雄著『アメリカ国有林管理の史的展開』 261
  <附>ブックガイド③:依光良三編著『流域の環境保護』 263

第Ⅴ部 森林・林業の回生 267
 12章 森林の価値の在処、存在の仕方 269
  はじめに 269
  機能(森林の働き)と価値 270
  森林の価値を量る 272
  文明的転換期における当為の「究極目的」の変更 275
  まとめにかえて ―森林・林業の基本的価値― 276
  <附>森林ガバナンス 281
 13章 ローカル・コモンズと公共性 287
  「コモンズ」の登場 287
  新森林・林業基本法の無効性 288
  協働の場と

「はじめに」から(抜粋)
 おのおのが構想力をもって立ちむかわなければ、日本の農山村や森林の状態をめぐるこの厳しい事態が、突破されていくことはないであろう。
 デザインとは、つまりは、アイディアや夢を構想力にまで高め、「意志と力」を注いで、かたちをつくる営為である。システム的で、秩序的、組織決定的な行政の「計画」は、ともすれば計画づくりを自己目的化し、計画倒れに終始する。制度化されている「森林計画」は、とりわけそうであった。
 はたまた、「成長の経済」を推進せんがために自然を単純化し、公権力でねじ伏せる「全国総合開発計画」のもとで、自然は痛めつけられ、疲弊してきた。計画立案も一種のデザインと言えなくもないが、いま、要請されているのはそのリ・デザインである。
 デザインは、ものつくりのディーテイル(詳細)にまで意を払うもの。そこには、「繊細な精神」が宿っていなければならない。
 この本の、<森林社会>に対するデザイン力は、いかほどのものか。筆者自身、全く推し量れない。読者賢者と歴史に判断をゆだねるしかない。傷つけられた自然環境から、いろんなシグナル(signal)が送られてきている。それらを感受し、サイン(

目次

第1部 時代的状況(いま、「まちとむらをむすぶ」とはどういうことか;安定社会に向けて)
第2部 森へ、そして森林社会へ(森林社会への道;地域のなりわいとエコツーリズム;「里山」の発見とその展開方向;森に遊び森を楽しむ―森林ツーリズム)
第3部 中山間地域の存在性(森をめぐる営みの確かさ―日本の「山村らしさ」にあったもの、あるもの;出雲の築地松―生きられる景観;たたらと里山;中山間地域の新たな可能性)
第4部 「環境と経済」への意図―環境政策と産業の「自立」(環境政策と林業政策のはざま―森林・林業基本法が示しているもの;林業・木材産業の地域的再編―三重県松阪木材コンビナートの創設をめぐって;環境問題と経済―切り口、スタンス、コンセプト)
第5部 森林・林業の回生(森林の価値の在処、存在の仕方;ローカル・コモンズと公共性)
ゆたかな森林づくり、希望の林業―むすびにかえて

著者等紹介

北尾邦伸[キタオクニノブ]
1942年大阪府生まれ。京都大学農学部卒。京都大学助手、島根大学助教授および同教授を経て、2005年3月末に島根大学を定年退職。京都学園大学学部設置準備室職員。専攻は、森林計画学、森林政策学
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