内容説明
生命現象に暴力的に介入する「悪しき科学」とそれを支える人間‐生命観を科学的、倫理的、社会・経済的に徹底的に批判する、勇気と指針の書。
目次
第1章 神をも恐れぬ同盟
第2章 バイオテクノロジーの現在
第3章 遺伝子組み換え技術の約束と現実
第4章 ネオ・ダーウィニズムの起源
第5章 機械的生物学の終焉
第6章 生物多様性を破壊するバイオテクノロジー農業
第7章 狂暴化する細菌
第8章 生命をもてあそぶ「世紀の偉業」
第9章 遺伝子決定論がひらく「すばらしき新世界」
第10章 遺伝子の突然変異とヒト疾患
第11章 新たに始まる生命の時代
著者等紹介
ホー,メイワン[Ho,Maewan]
イギリスのオープンユニヴァーシティーの上級講師。1994年からは第三世界ネットワーク(TWN)の科学顧問もつとめる。専門は生物物理学だが、遺伝子組み換え技術とバイオセーフティー問題に強い関心を寄せ、テレビやラジオに出演する他、国連や世界銀行、ヨーロッパ議会、その他多くの国際会議の討論に参加し、講演を行なっている
小沢元彦[オザワモトヒコ]
東京大学理学部物理学科卒。主に科学分野の翻訳、ジャーナリストとして活躍。訳書に、『生命は宇宙を流れる』(フレッド・ホイル他著)等
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感想・レビュー
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本格派
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第10章の最後に、総括と言える言葉が書かれている。 「遺伝子組み換え技術を利用したバイオテクノロジーの基礎にあるのは、遺伝子は不変で、線形的に機能し、情報の流れは一方通行であるという遺伝子決定論の思想である。けれども、過去20年間に蓄積された科学的知見によって、この思想の前提はすべて否定されている」のである。 前半は遺伝子組み換え技術の原理的な問題点、すなわち「生物の設計図である遺伝子を操作すれば、思い通りの性質が得られるはずだ」という思想が誤りであることを、後半は遺伝子組み換えを利用した農業、医薬品製2014/06/22