出版社内容情報
■ダーウイン・プロフィール
内容説明
世界を震撼させた進化論はいかにして生まれたのか?激動する時代背景とともに、思考プロセスを活写。数々の賞に輝く世界的ベストセラー。ジェイムズ・テイト・ブラック・メモリアル賞(英・1991)、コミッソ賞(伊・1993)、ワトソン・デイヴィス賞(米国科学史学会・1993)、ディングル賞(英国科学史学会・1997)。
目次
転落するキリスト教徒を受けとめる
北のアテネ
苔虫と扇動的な科学
国教会の命令
楽園と懲罰
ヘンズローと散歩する男
誰もが自分で
最後の退場
歓喜の混乱状態
別世界の悪霊〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
6
エラズマス・ダーウィンの影響を受けたメアリー・シェリーは彼の「進化」概念から創造主になり替わる人間と創造物が人間になろうとする小説を書く。一方孫チャールズは祖父の「進化」なる言葉に距離を取り、変異と淘汰による「ゆるやかな変化」に注目する。前者は「進化」を人間の時間、後者は宇宙大の時間で捉えた。本書は宇宙にこの「変化」を仮説する男が世界を回って観察と蒐集と思考を続け、「悪魔に仕える牧師」と呼ばれ、最後に祝福され埋葬されて「進化」に集約されるまでを描く。未発表資料を交えたヴィクトリア朝に生きる男の伝記の大作。2017/09/09
Rootport Blindwatchmaker
3
過去に読んだ伝記のなかでは文句なしで最高に面白い。なにより、主人公ダーウィンが読者の感情移入を誘うキャラクターであることが大きい。彼は抜群に豊かな家系に生まれ、大学は出たものの、将来のやりたいことやなりたい自分に迷っていた。当時としては贅沢な悩みだろうが、現代のダメな大学生にも通じるものだろう。父親や歳の離れた姉からは真剣に将来を心配されているボンクラだった。ところが、衝動的にビーグル号航海に参加したことが、彼の人生を決定的に変えた。5年間に及ぶ世界一周を終えたとき、彼は情熱的な科学者へと成長していた。2017/06/25