内容説明
西の乳・東の大豆。古来からタンパクの王者である。20世紀まで、家畜の去勢を知らなかった日本ではあるが、古代には牛乳・乳製品を消費していた。蘇我氏の蘇は乳製品を意味する酥に通じるとも考えられ、今も残る醍醐の名は、牛乳五味の最高の味をいう。武家政治600年の後、明治の文明開化・近代化とともに、牛乳・乳製品もようやく本格化し、爾来1世紀余り、ミルクホール、粉ミルク、学校給食牛乳、LL牛乳、そしてヨーグルト革命と、生活のなかに定着してきた。今日、牛乳・乳製品は、消費の伸び悩み、過剰生産等の問題をかかえているが、明日の健康を考えるとき、欠かせない食品のひとつである。
目次
第1章 古代天皇家にまつわる乳製品、蘇・醍醐
第2章 キリスト教精神がリードした牛乳産業移植
第3章 有畜農業運動時代の近代化(昭和元~12年)
第4章 事変・大戦下におけるカゼイン大増産と敗戦(昭和13~20年)
第5章 戦後復興と酪農ブーム(昭和21~32年)
第6章 高度経済成長と酪農・乳業の大規模化(昭和33~49年)
第7章 安定成長期と生産調整(昭和50~60年)