小原秀雄著作集〈1〉動物の科学

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小原秀雄著作集〈1〉動物の科学

  • 小原 秀雄【著】
  • 価格 ¥6,930(本体¥6,300)
  • 明石書店(2006/08発売)
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  • サイズ B6判/ページ数 536p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784750323909
  • NDC分類 480.8
  • Cコード C0345

出版社内容情報

動物に関する優れた著作を世に著してきた著者の論考をまとめて読者に提供する小原秀雄著作集全4巻の第1回配本。地球上に存在する人類自身をも含んだ動物を生物学などを土台に科学的につづり、「動物とは何か」というテーマに迫り、著者の動物観を披瀝する。

小原秀雄著作集まえがき
1 動物の科学
 まえがき
 第1章 動物の「正」態
 (1)シマウマの集団――事実を正確に知る
 (2)事実は小説より奇なり――動物学と動物文学の立場
 (3)発見は深まる――「正」態の発見
 (4)食っては寝、食っては寝る――現象による区分は無意味
 (5)ゴリラの水泳とチンパンジーのおしめ――変わること変わらないこと
 (6)イヌとオオカミ――種の問題
 (7)珍獣奇獣――羅列主義は無意味
 (8)ライオンとヒョウの戦い――生物界のなかでの条件
 (9)キリンの首はなぜ長い――生物的意味
 (10)ヒツジとワラルー(カンガルー)の戦い――具体的な生物界のなかで
 (11)動物とはなにか――動物学を考えるうえに
 第2章 食物連鎖と生態的地位――動物の生活と生物界の構造を考える
 (1)動物の特徴――動物とは食う生物である
 (2)栄養でなく、食物を生物界のなかで摂る
 (3)食物連鎖――生物界構成の基本
 (4)食物連鎖と生態的地位――生物界の基本構造
 (5)個体数をめぐる生物界の変動――生物界における種個体群間の関係の動的現われ
 第3章 生態的地位と種――種についての一視点
 (1)形態と生態――形態は生態的地位の歴史を示す
 (2)新種発見――種の概念をめぐって
 (3)各種の形態――系統と生理に見える斉一性
 (4)学名の意味と図鑑――分類学の変革
 (5)種の生態と形態――種の実態
 (6)地域生物界のなかでの種――自然界での種の存在の仕方
 第4章 生物界の発展
 (1)「生きた化石」の意味――生物界のなかでの生物系の現状
 (2)生物界の起源
 (3)適応放散と生態的地位――生物界の進化
 (4)生態的地位と進化
 (5)生物界の系統――新しい生物界の歴史的な見方
 (6)分布―生物界の地理的現状
 第5章 生物界における哺乳類――動物とは
 (1)哺乳類の特徴――生物の最高の発達段階としての哺乳類
 (2)生物界の発展における動物、ひいては哺乳類の意義
 (3)人類は生物界を変える――哺乳類時代から人類時代へ
 (4)人類の生物界への影響――生物界の再編成
 (5)生物界の変動――生物界の未来は社会的影響のもとに
 終 章 生物について考える
 あとがき
2 境界線の動物誌
 第1章 人間と動物の出会い
 (1)古今東西家畜譚
 (2)なれるということ
 (3)ターザンを思う
 (4)猛獣ホモ・サピエンス
 (5)オリバー君問題
 第2章 動物学の前線
 (1)パンダのはなし
 (2)ジャコウネコ
 (3)自然と人工のレオポン
 (4)生物学はどこへ行く?
 (5)毛皮の博物誌
 (6)自然破壊の逆説
 第3章 アフリカの旅
 (1)愛護と理解の違い
 (2)動物文学と研究記録
 (3)河馬のはなし
 (4)動物たちの生と死
 (5)私のアフリカ
 第4章 動物の学から人間の学へ
 (1)動物における〈快〉
 (2)動物は地震を予知するか?
 (3)動物は死を意識するか?
 (4)知の限界
 (5)ヒトの生態学
 (6)現代生物学と哲学
 あとがきとしての独白
小原秀雄著作集 第1巻 あとがき

小原秀雄著作集 第1巻 あとがき
 著作集の第1巻は、わたしの動物観をテーマとしている。著作の全てはその執筆時点のものであることはいうまでもない。したがって具体的な事実や事例については、調べたり、見聞したり、観察したりした際にできる限り正確さを期したが、当然限りある。それらについては誤解を受けないように、その後の報告などを付記したとはいえ、当時の限界は読者に知悉してもらって、後にわたしがどのように変化したかの跡づけのみの部分もある。それが著作集の目的でもあるからである。
 だが、もちろん、事例の変化などは通常の学問成果を並べればすむ。最も基本的な点は以下の二点である。
 第一点は、わたしがそれらの事例・事実に基づいてどのように動物観(本巻では)を形成、あるいは開陳してきたかである。この巻の第1部では科学教育、特に理科の生物学教育にあたる人々への提言である。現代ではなお一層強くなっているが、現代の科学での対象理解(その教育方法は私に語れないが)の近代化あるいは現代化である。これは民間団体か否かはあまり関係ないのだが、著作当時、現代化としてアメリカのBSCSといった教科書の内容への傾斜が画期的であり、今も続いている。それらの「流行」への問いがあった。
 第二の点は、科学観である。第2部は、わたしの新しい発展がきざしている論考集である。一時期論議が盛んであった反科学論は、政治的な見解と結びついて華やかに論じられ、科学論の生物学界での変化を一身に体現したのは、わたしの友人でもあった柴谷篤弘であった。近代的物理化学に基づく生物観を六〇年代に唱え、後に自然史(誌)、そして構造主義生物学を唱えた。今はあらゆる物事が相対化されているため論としての科学も科学的に正面から取り上げられなくもなった。科学についても絶対的真理とみなす論拠は薄まる一方である。そもそも絶対的とか真理とかもほとんどわきに置かれた論題である。一方では調べられた成果や技術などは現実の社会の中で、むしろ市場原理のようなより強力な力で適用されている。自然は宇宙から地球、そして生物や人間のうちなどに存在している。
 定年になって時間的余裕が生じたこともあるし、環境問題や自然保護などに深く関わっている身としてこれらについて考えざるを得ない。自然と人間のその認識である自然科学についてである。わたしは幸か不幸か現実の自然(といっても人間が見れば、もはや原自然ではないとの説もあるし、自然保護区なども人間よってに設けられている以上、人為的であるとの意見も承知だが)に触れる機会ももって考察せざるを得なかった。しかし、この「あとがき」で論じ切るには不適当と思う。この巻では一九六〇年から一九七〇年後半頃まで様々に考えた、ある意味では揺れ動いている科学や科学的、自然などについての観念が点在しているとみなしてほしい。まだ、これらの著作には、たとえば進化について、哺乳類が単なる生物の一つの類だけではないという動物観、そして人間観へのきざしなど、その後の論点の始まりなどが顔を出している。古典的と評されそうであるが、実は新しい発展を生むと自負してもいたのが、これらの論考である。

目次

1 動物の科学(動物の「正」態;食物連鎖と生態的地位―動物の生活と生物界の構造を考える;生態的地位と種―種についての一視点;生物界の発展;生物界における哺乳類―動物とは;生物について考える)
2 境界線の動物誌(人間と動物の出会い;動物学の前線;アフリカの旅;動物の学から人間の学へ)

著者等紹介

小原秀雄[オバラヒデオ]
1927年東京生まれ。国立科学博物館助手を経て、1969年女子栄養大学教授(生物学)、1998年定年退職、同大学名誉教授。専門領域は、哺乳類学(動物学)、人間学、環境科学(自然保護論)ほか。国際哺乳類学会、国際自然保護連合(IUCN)、世界自然保護基金日本委員会(WWF‐J)等の国際関係役員、総理府動物保護審議会委員等を務め、現在、NPO法人野生生物保全論研究会会長、総合人間学会副会長、日本環境会議代表理事、ヒトと動物の関係学会顧問等を務める。世界野生生物基金(WWF‐I)から保護功労賞(1982年)、国連環境計画(UNEP)からグローバル500賞(1988年)のほか、毎日出版文化賞(1966年)、産経児童出版文化賞(2003年)等受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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