出版社内容情報
〔共通感覚論を中心に〕科学とテクノロジーによる合理性の制度化のなかの現代の〈非人間化〉を、ハーバーマスの問題提起に触発され、カントの社会哲学によって反省する野心作。
内容説明
本書は、『判断力批判』をめぐる最近の史料に吟味を加え、また認識論をめぐるスコットランダーとカントについての最新の文献史的研究事情をも参酎しながら、『第一批判』および『第二批判』に検討を加えたうえで、『第三批判』の中に社会哲学あるいは政治哲学の基本的フレームワークを探り当てようとするものである。なお、本書は昨年、京都大学で行なわれた社会思想史学会シンポジウムにおける報告原稿(第1章より第6章まで)を中心にして、それに若干補説したものである。
目次
第1章 カント研究の現状
第2章 ドイツにおけるコモン・センス概念の変容
第3章 カント倫理の内的構造
第4章 社会哲学への序章
第5章 生活世界への通路
第6章 精神活動の新しい評価
第7章 自律とコミュニケイション
第8章 熟慮の出発点―スミスの場合
第9章 普遍性における人間と多数性における人間
第10章 公的領域への自由
補論 デカルトの情念論―カッシーラーのデカルト論の紹介に代えて