出版社内容情報
“マルクス=ウェーバー問題”を初めて提起した初期レヴィットの代表的論文で、資本主義社会の自己疎外=合理化にかんする両巨人の分析批判と理念の相異を比較検討した名著。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
9
マルクス主義が弾圧された戦前日本でマックス・ウェーバーが読まれたのは、東北大で教鞭を執っていた著者の本書の邦訳があったからだという。マルクスの資本主義による自己疎外克服という科学的社会主義のビジョンに、資本主義の「合理化」傾向の残滓を読み、批判するウェーバーを論じる本書は、戦前の転向者にとって自己批判の規範となったようだ。一方著者は、ウェーバーのマルクス批判に疎外の克服という外在化した目標を立てるキリスト教社会の知と信仰の混濁状態を読み、内在化した今に留まるウェーバーに両者を区別する実存への努力を見出す。2021/10/12