内容説明
ゲノムを読むとはどういうことか。それはどのようにして読むのか。全人類の全細胞中のDNAの情報を解明することによって得られる病因遺伝子等の基礎知識と、派生する問題点をわかりやすく解説。
目次
序章 ヒトゲノムの全体像を俯瞰しよう
第1章 三人の男たちの野望―ヒトゲノムの解析はこうしてはじまった
第2章 どのようにしてゲノムを読むのか
第3章 科学の世界を揺るがす特許戦争―ゲノム解読競争のその後
第4章 遺伝病解明への挑戦
第5章 クリントン=ブレアの共同声明―ヒトゲノム解読の終盤戦
第6章 ゲノム解析で病因遺伝子を知る
第7章 ゲノムの解析は人類に何をもたらすか
著者等紹介
柳沢桂子[ヤナギサワケイコ]
1938年東京生まれ。60年、お茶の水女子大学理学部を卒業後、渡米、結婚。63年、ニューヨークのコロンビア大学大学院を修了。帰国後、長男を出産。慶応義塾大学医学部助手となる。65年、長女を出産。69年、発病。長い闘病生活が始まる。71年、三菱化成生命科学研究所主任研究員となる。83年に同研究所を退職。激痛を伴う病に苦しみながら、生命科学者・サイエンスライターとして病床で著作活動を続ける。99年、薬の新しい処方により、奇跡的恢復を遂げる
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感想・レビュー
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マイケル
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最も興味を持って読んだのは、「ヒトの遺伝病」の章と、「優生学」の章です。第7章のタイトルにもなっている「ゲノム解析が人間に何をもたらすか」です。たしかに科学技術の発展によって、今後好きなようにゲノム編集が可能になったとして、本当にそれが人類に幸せをもたらすのか、神の領域を犯すことによってしっぺ返しをくらうことは本当にないのか、突っ走る前にしっかり議論すべきだと思います。「CRISPR (クリスパー) 究極の遺伝子編集技術の発見(ジェニファー・ダウドナ著)」でも警告していました。2019/05/29
bittersweet symphony
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原因不明の難病に冒されていた生命科学者によるヒトゲノム解読までの流れと解析手法・DNA検査の応用(医療・犯罪捜査)の実例を解説したもの。タイトル・カバーなどがソフトな感じなので読み物として簡易なものかと思いきや、専門用語も多用して結構突っ込んだ内容になっています。ゲノム解読の各プロセスの分析手法を解説しているところなどは結構混乱します。同じジャンルに中村桂子さんという研究者もいますが、こと生命科学に関していえば女性的な感性・倫理観がより必要とされると思うので良いことではないでしょうか。2005/06/23