感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
大宮担
8
意外におもしろかったです。 よくこんなに調べたなって感心してしまいました。2013/08/10
紫
6
1978年刊行。底本は1972年ということで、ちょうど50年前に出版されたこの本。現在でこそ一般にもよく知られる吸血鬼ドラキュラのモデル=ワラキア公ヴラドですが、両者のイメージを重ねて論じられるようになるのは意外に遅くてようやく1960年代になってから。本書はドラキュラ伯爵=ヴラドを本格的に考証した最初期の一冊なのであります。サブタイトルこそは「吸血鬼のふるさとをたずねて」ですが、本書の主題はあくまで史実のドラキュラ公の事跡。史料が少なく、断片的な文献に頼るしかない事情はどこの国も同じなのですね。星5つ。2022/06/26
SKH
6
明晰な頭脳を持つ人物らによる「ドラキュラ考察本」。2013/12/06
やんも
3
史実のドラキュラ、ワラキアの君主だった彼の足跡を追った研究書。人質としてトルコに囚われ、父と兄は同国の貴族に暗殺され、自身も常に命を脅かされていた彼は、誰をも信じず、いざとなれば味方すら手にかける冷酷な人となり、君主になってから嗜虐性が串刺しと拷問の形で開花した。著者らはドラキュラの城や墓を特定し、さらに実像にも迫る。なお吸血鬼としてのドラキュラにも頁は割かれている。2015/10/26
印度 洋一郎
2
1960年代半ばに、ルーマニア現地を調査したアメリカとルーマニアの研究者によるルポルタージュ。ドラキュラのモデルとなった、串刺し公ブラド・テペシュの足跡を訪ね、"ドラキュラ城"を探し、ルーマニアに残る伝承を収集して回り、敵だらけの中で生涯を送った中世の武将に迫っていく。ルーマニア人にとって、ブラド公は"峻厳で容赦が無いが、公平な名君にして民族の英雄"という織田信長のような存在なのだった。この本が出た60年代にはまだ廃墟のままだったドラキュラ城も、今ではすっかり観光地化して、日本人も詰めかける有名スポットだ2011/10/25