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岩波新書
日本人の歴史意識―「世間」という視角から

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  • サイズ 新書判/ページ数 208p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004308744
  • NDC分類 204
  • Cコード C0221

出版社内容情報

歴史好きだといわれる日本人だが,その一方で歴史意識の欠如が問われることも多い.日本人にとって歴史とは何だろうか.西欧社会と比較しながら,「世間」を歴史的に分析して,日本人の歴史意識を考える.

内容説明

歴史好きだといわれる日本人だが、その一方で歴史意識の欠如が問われることも多い。日本人にとって歴史とは何だろうか。これまで「世間」という視角から日本社会・日本人を論じてきた著者が、西欧社会と比較しながら、「世間」を歴史侵に分析して、日本人の歴史認識の根底にあるものは何かを考察する。

目次

第1章 古代の知識人と「世間」
第2章 古代の民衆と「世間」
第3章 呪術を否定した親鸞
第4章 「世間」における歴史の位置
第5章 「世間」の世俗化
第6章 西欧における近代の始まり
第7章 日本近代の二重構造―制度と人間関係
第8章 西欧における歴史意識と歴史学
第9章 日本人にとって歴史とは何か

著者等紹介

阿部謹也[アベキンヤ]
1935年東京に生れる。1963年一橋大学大学院社会学研究科修了。現在、一橋大学名誉教授。専攻は西洋中世史
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ころこ

42
多くの読者が著者の語りに同意できない。歴史意識を主題にしているのに、著者自身が近代化=西洋化の歴史意識と、それを批判的にみる再帰的な自己意識の両方をバランス良く持っていないからだ。つまり、意図せず西洋化する日本人になっている著者自身が、「それでもあなたは近代的日本人でしょ」という問題意識を持つ主体であることの読者の反発に気付いていない。「「世間」は日本にしかないからである。」そんな訳はない。社会があれば共通認識があり、世間は存在する。それが相対的に強いか弱いかの違いがあるだけである。現在は「同調圧力」とい2023/02/24

さきん

30
頑張って世間に注目して日本人の特徴を描き出そうとしていることを感じたが、上げている親鸞などの例も、ただ羅列されただけであって、全然説明できているように感じなかった。他の国にも著者の言うような世間はあると思うし、法治が強くなければ、慣習の目に見えない部分で強くなるのはある意味当たり前ではないかと感じる。親鸞は既存の世間を破壊することに成功したかもしれないが、人々は結局次の世間を作らないとやっていけない。そういう意味でもあまり納得のいく内容ではなかった。2017/02/11

那由田 忠

19
疲れた、学者の本とは思えない、勝手語りだった。世間の定義と実際の語りの内容と全然合わない。私は自分の人生で「世間」に縛られた意識が皆無なので、全く響かないのだろうね。個人の成立にはキリスト教が影響と言いながら、なぜ12世紀以降なのかも不明。欧米の社会や個人が日本と大きく異なるのは事実と思うが、「世間」や個人の有無で語るのは無理すぎて印象論を超えない。多神教が信ずるのは呪術で、キリスト教徒の信ずるものは呪術でないという理屈もわからん。困ったなあ。「歴史」が共同体に不可欠で、それが歴史学と違うのは当たり前。2018/03/21

tom

14
阿部謹也先生は、この本で「歴史学者」に吠える。「世間」というものを明らかにするため、日本とヨーロッパの「個人」と「世界」の関係を比較したうえで、日本には、ずいぶん大昔から「世間」という名の魔物が跋扈していると述べる。そして、日本の歴史の背景に居座っている。「世間」といものは、かなり嫌らしいものだ(それは、大学の人事まで支配している)とも。歴史を研究することを仕事にする学者は、どうして、この問題を自分たちの問題として研究対象にしないのか。ほんとうに日本の学者は、ズルいのだと書いている(と私は思った)。2021/12/07

うえ

8
日本独特な関係性「世間」。「戦争や災害、病気や事故は「世間」の中に常に位置づけられている現象ではない。原理的にいえば…突発的事件として受け止められている…歴史もこれらの突発的事件と同じく、世間の外に位置づけられており、世間の中に常に位置を持っているわけではない」「世間の中の日常生活には普段は歴史はほとんど影を投げかけてはいない。私たちは歴史とほとんど無縁な形で日々の生活を送ることができるのである」「歴史好きの人々…は歴史をドラマとして楽しんでいる…しかし…自分自身が参加しているドラマだとは思っていない」2018/01/05

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