内容説明
和辻哲郎の宇宙―そこは,現象学と身体論の交わる場所.『古寺巡礼』『風土』『面とペルソナ』等は,明治以降の日本思想史に特異な光彩を放っている.輝きはどこから来るのだろうか.現代哲学におけるその先駆性とは,意味とは? 本書は数え年7歳の和辻の夢幻劇体験から始まる.歌舞伎と操り浄瑠璃を結ぶ不思議な糸をかいまみた《村の子》の身体感覚に遡り,学問精神の紡いだ思索の織目を読む.東西文化の渉猟,「民衆の構想力」への洞察と考証,《イデーをみる眼》と評されたその心性,文体―原点にふれる,はじめての和辻像.
目次
見出だされた時
人としてあること
風土としての空間
巡礼の時間
かたりの時空
失われた時